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千葉県香取市

廃校施設など活用推進/「調和」重視し市政運営/伊藤友則 香取市長インタビュー

2022/06/06 日刊建設タイムズ

 4月24日執行の香取市長選挙で初当選を果たした伊藤友則氏が、本紙の独占インタビューに応じた。歴史的財産等と空港圏、道路交通網、産業などの調和を念頭に、市政運営に取り組むとともに、旧1市3町の均衡ある発展を目指す。放課後児童クラブの整備や、廃校施設など公共財産の活用に注力するほか、大倉スマートインターチェンジの新設、小見川大橋の架け替えと4車線化、利根川堤防の整備を促進。地域の建設業に対しては「行政が行き届かない部分を担っていただいており、住民サービスに欠かせない存在」と考えている。

 

 ――多くの市民の負託を得て、市長に就任した。

 

 伊藤 地方に対し、いろいろな物事の「調和」が問われる時代だと感じている。とりわけ香取市においては、歴史的な財産、自然環境を尊重しながら、農家への支援を重視しつつ、空港圏、道路交通網、地域産業などの実情やさまざまな主体による施策の調和を念頭に市政運営に取り組んでいく。

 また、利根川や水田地帯を有するため、大雨時の水害や地震災害時の液状化などの懸念があり、激甚化する災害と向き合っていかなければならない。人口減少に伴う税収減、地域の活力減にも対応していく必要がある。

 今こそ、旧佐原市、旧小見川町、旧山田町、旧栗源町の旧1市3町を再確認し、より強固にまとめていくことが求められる一方、それぞれの地域性、伝統、産業を尊重し、均衡ある発展へ具体的に取り組むことが重要。

 行政と市民の双方向のコミュニケーションを充実し、隅々まで行き届く支援、そして、住民と協調した市政運営・地域づくりが大事で、このことが自身に寄せられた信頼と期待だと思っている。

 

 ――放課後児童クラブの整備について。

 

 伊藤 例として、学校再編により、旧津宮小学校と旧大倉小学校が統合し、水の郷小学校となった。近くに放課後児童クラブが無いことから、旧津宮幼稚園施設の活用に加え、香取小学校も対象とした新たな放課後児童クラブの設置を進めていく。

 また、希望児童数が増加している学校で待機児童が生じているため、いわゆる空き校舎、空き教室などの活用を前提として対応したい。

 

 ――そのほか、公共財産活用の見通しは。

 

 伊藤 まず、準備が整い次第、旧小見川南小学校施設と旧八都第二小学校施設について、活用希望事業者を募集したい。投票所や災害時避難所など地域拠点としての継続使用を条件とし、有償での土地の貸し付けおよび無償を含む低廉な価格での建物賃借を想定している。当然、当該事業体は、地域と共存し、末永く事業を展開・継続してほしい。

 その他の廃校施設も、条件が整い次第、順次、民間事業者の募集を含め、早期に効果的な利活用ができるよう進めていく。

 

 ――大倉スマートインターチェンジ新設、小見川大橋架け替えと4車線化、利根川堤防整備の促進について。

 

 伊藤 スマートインターチェンジは、国・県に対して現実的な計画を提案するなど、国道356号バイパスの整備に合わせ、陳情等を含めて相談していく。東関東自動車道佐原パーキングエリアへの設置も一つの案と思う。

 物流拠点としての位置付けを充実するには、小見川大橋が非常に重要。架け替えと4車線化の実現までに相当な年月を要すると思うが、周辺事業者の期待や現在の交通量を提示しつつ、関係当局に陳情していきたい。

 国土強靭化関連および安心・安全な地域を実現する観点から、利根川両岸の堤防整備は不可欠ではないか。また、堤防沿いの道路の交通量が非常に多く、堤防機能の強化と併せた産業道路としての位置付けを高め、一層の整備について、担当部局や国の今後の方針・意向を聞きながら要望していく。

 

 ――水素ステーションおよび、水素利用をはじめとする新技術研究機関の誘致について。

 

 伊藤 物流拠点として、また車の往来が多い状況に鑑み、例えば、水素対応自動車にエネルギーを供給できる設備の導入を図りたい。さらに、遊休土地や廃校施設の活用などによる先端産業等に係る研究機関の誘致について、民間事業者や大学などに広くアピールしていきたい。

 

 ――佐原消防署小見川分署の建設事業が進められている。

 

 伊藤 2023年度から次年度にかけて建設工事が進められる予定。可能であれば、地元企業がなるべく参画できるような配慮を求めるとともに、地域防災と安心・安全なまちづくりを担う施設となるよう期待する。

 

 ――地域の建設業に対する思いは。

 

 伊藤 日頃のさまざまな地域インフラの整備や災害対応などに昼夜問わず尽力され、行政が行き届かない、やり切れない部分を担っていただいていると感じる。住民サービスに欠かせない存在であり、敬意を抱く。

 各事業所がより円滑に事業を行えるよう共に歩んでいくほか、有事のときには、迅速な対応ができるよう、常日頃の備えとして、より一層、コミュニケーションを密にしていきたい。

 

 

 いとう・とものり

 1972年11月30日、旧佐原市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒、明治大学大学院政治経済学研究科(政治学専攻)修士課程修了。旧佐原市および香取市議会議員選挙5期連続当選。4月24日執行の香取市長選挙で初当選を果たした。了徳寺大学客員准教授、個別指導学習塾経営。中学生時代から吹奏楽(トロンボーン)を愛好し、現在も地元の社会人吹奏楽団に所属しているほか、ジャズバンドを率い、これまでに多数のイベント等に出演。バルーンパフォーマーとしての横顔も。

伊藤友則市長 抱負と展望を語る伊藤市長

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