記事

事業者
国土交通省

【建設業法令順守】発注者にも注意喚起/工期と価格転嫁を調査

2022/06/07 本社配信

 建設業法令順守に向けた国土交通省の推進本部は、2022年度の活動方針を決めた。22年度の重点項目としては、個別の工事ごとにおける元請け・下請け間の取引状況について調査を進める。標準見積書の活用や見積もりの協議状況、代金支払い状況(労務費相当分の現金払い含む)などに関するモニタリング調査を行うとともに、「著しく短い工期の禁止」「価格転嫁」の実態を確認し、発注者にも必要な注意喚起を行っていく。

 著しく短い工期の禁止は、昨年度から引き続き実施するもので、工期設定の考慮具合の確認、過去の同種類似工事実績との比較、工期の見積もり内容の精査、時間外労働の状況等を把握する。22年度は、受発注者間の契約締結状況も確認し、個々の工期の実態を把握した上で発注者に対しても必要な注意喚起を行う。

 価格転嫁の関係では、昨今の資機材の価格高騰を踏まえた請負契約における請負代金の変更に関する規定(いわゆるスライド条項等)の適切な設定・運用状況を確認する。受発注者間でも同様の確認を行い、発注者に対して適切な対応の要請や注意喚起を予定している。

 また、技能労働者への適切な水準の賃金支払いや、低価格受注工事における下請け取引状況の確認も重点事項として継続調査する。

 21年度の活動結果によると、建設業者に対する立入検査等の実施件数は778件で、ウェブによる検査を導入した効果もあり、20年度から362件増加した。監督処分・勧告の実施では、21年度は営業停止9業者、指示6業者、勧告78業者の処分を行った。勧告の主な内訳は、下請け代金の見積・決定が48件、下請け契約の締結が7件、追加・変更契約が1件など。許可取消処分はなかった。22年度は立入検査等の実施件数を増やす意向だ。

 法令違反疑義情報受付件数は1335件で、うち大臣許可業者に対するものが407件を占めた。都道府県との共同開催を含めた建設業の法令順守に関する講習会等の開催件数は37回だった。

 国交省ユーチューブチャンネルに掲載した、法令順守のガイドライン改訂に関する説明動画は約2万8100回、適正取引ハンドブック(第2版)の説明動画は約1万5200回の視聴回数を記録するなど、21年度の掲載開始以降、順調に視聴回数を伸ばしている。

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら