栃木市は、大型公共事業の見直し方針をまとめた。事業期間は今秋に公告予定の都賀総合支所複合化が2025年度まで、基本・実施設計を委託した栃木東地域学校給食センターは26年度まで、基本計画策定中の都賀・西方消防分署は27年度以降までに変更。新規事業の着手時期は藤岡総合支所複合化と岩舟学校給食センターが共に25年度、大平消防分署は26年度、大平総合支所複合化と藤岡消防分署は各30年度に先送りする。今後の財政状況を勘案し、類似施設の整備期間と重複しないようスケジュールを調整した。
【都賀総合支所】
都賀総合支所複合化(都賀町原宿)はゼロカーボン化に向け、当初計画のディーゼルエンジン式自家発電機をV2Xシステムに変更。設計変更と再積算の必要性から、6月議会承認を12月議会承認に延ばす。国の補助金申請に併せて9月中旬に入札手続きに入る。
3工種分離の一般競争入札を今秋に公告。新庁舎は24年3月に開庁。23年度は現支所と都賀公民館の解体設計を委託。24~25年度で現支所と都賀公民館の解体撤去を施工する。22~25年度の事業費は18億659万3000円を見込む。
【東学校給食センター】
栃木東地域学校給食センターは建設予定地を市道沿線の神田町49番地に選定。敷地5800平方mを取得し、S造2階建て延べ1900平方mの新施設を建設する。22年度から足掛け3年間の基本・実施設計は渡辺有規建築企画事務所(宇都宮市)が手掛ける。
25年1月に着工し、26年9月の供用開始を目指す。栃木第3小、大宮北小、国府北小の3給食共同調理場を統廃合し、大宮南小、大宮北小、国府南小、国府北小、栃木東中、栃木南中、東陽中の7校に給食を供給。22~26年度の事業費は24億8330万円。
【都賀・西方分署】
都賀・西方消防分署は22年度中に基本計画を策定する。基本計画策定は大森一級建築士事務所(小山市)が担当。都賀、西方の両分署統合予定地は決まっておらず、適地が示される見通し。22~27年度の事業費は10億9698万円と試算した。
【藤岡総合支所】
現藤岡総合支所は敷地2430・99平方m。RC造3階建て延べ1123・44平方mの本館、SRC造3階建て延べ1186・14平方mの新館、RC平屋建て151・8平方mの福利棟、S造3階建て延べ715・51平方mの別館で構成する。
本館、福利棟、別館の3棟は旧耐震基準。唯一新耐震基準を満たす新館は3階旧議場が特殊な形状。旧議場は有効な活用方法が見当たらず、複数の建物の維持管理経費が増大傾向。建物が分散しているため、使い勝手が悪い。
総合支所の複合化は機能の異なる施設を集約し、利便性の向上と同時に機能や空間を充実。施設間の補完効果と相乗効果を生み出し、多目的利用や地域活動の促進に結び付ける。少子高齢や人口減少社会の中で、コンパクトシティの地域拠点施設化を図る。
【岩舟給食センター】
岩舟学校給食センター整備は25年度に着手し、31年9月の供用開始を目指す。藤岡学校給食センターは供用開始時期を36年9月に設定するのにとどめた。岩舟、藤岡の両地域はセンターまたは親子方式の調理場を新設し、地域内の全小中学校へ給食を配送する。
岩舟地域の学校給食調理場は自校方式ながら、全てが学校給食衛生管理基準に不適合。藤岡学校給食センターは藤岡地域の6校に受配。現施設を稼働しつつ改築するには敷地の余裕がなく、新たな建設用地が必要。新施設稼働後の現施設は順次廃止し、解体撤去する。
【大平、藤岡分署】
大平分署は26年度、藤岡分署は30年度に各基本計画の策定に着手。大平分署の事業費は11億円。敷地は十分な訓練スペースを要し、3000~5000平方mを想定。いずれも移転が必要であり、分署庁舎の必要規模はS造2階建て延べ1000平方m。
屋内には事務室、会議室、市民相談室、食堂・厨房、倉庫、書庫、男女別仮眠室、トレーニング室、救急消毒・洗浄・乾燥室、救急資器材庫、男女別浴室・脱衣室、男女別トイレ・多用途トイレ・洗面所を整備。付属施設は訓練塔(主塔、副塔)、資機材倉庫、駐輪場。
今回は新型コロナウイルス感染症対策で巨額の財政出動を迫られ、ウィズ、ポストコロナ時代の新たな財政状況を考慮。財政負担の軽減に努めつつ、類似施設の整備時期分散化で財政出動を平準化。直面する課題に対応し、職員の知恵の結集で財源を確保する。