県県土整備部が管理する道路アンダー29カ所のうち6カ所の冠水対策が完了していないことが分かった。具体的な箇所は、宇都宮市の国道121号(宮環)宮の内、主要地方道宇都宮亀和田栃木線(宮環)下砥上、同宇都宮真岡線中央卸売市場と真岡市の外堀、下野市では同羽生田上蒲生線大山、一般県道下野二宮線自治医大の各アンダー6カ所。県道路保全課によると、対策はポンプ設備等の地上化や雨水排水に伴う調整池の新設などで、今年度はポンプ更新やボックス躯体の修繕、地上化に伴う用地調査など事前準備を進めていく。
宮の内アンダーは1996年に供用し、宮環が国道4号をアンダーパスする。雨水排水はポンプによる強制排水で、制御盤が半地下となっている。対策は設備の地上化を予定しており、21年度に設計を大日本コンサルタントでまとめた。早ければ23年度に対策工事を実施する。
下砥上アンダーは92年に供用。宮環がJR日光線と一般県道羽生田鶴田線などをアンダーパスする。ポンプの制御盤、自家発電設備とも半地下式で、対策では設備の地上化を予定。21年度にピーシーレールウェイコンサルタントで設備地上化やポンプ更新設計をまとめた。今年度はポンプの更新を実施する。
中央卸売市場アンダーは、77年に供用。宇都宮真岡線がJR宇都宮線をアンダーパスする。ポンプの制御盤、自家発電設備とも半地下式で、冠水対策と設備更新設計を21年度にニューフロンティアで実施。対策内容を再検討し、今後の工事に備えていく。
外堀アンダーは2000年に供用し、宇都宮真岡線が真岡鐵道をアンダーパスする。ポンプの制御盤、発電設備とも半地下式で、対策では設備の地上化を予定。21年度にピーシーレールウェイコンサルタントで電気設備更新設計や老朽化補修設計を実施。今年度はアンダー躯体のボックスを補修する。
大山アンダーは74年に供用し、羽生田上蒲生がJR宇都宮線をアンダーパスする。地上式のポンプが2台設置され、1台に統合し新設する。2台のうち1台はJRが設置し、1台は新4号までの県道新設工事に併せ県が設置した。
今年度は測量や用地・物件調査、導水管とポンプ設備の詳細設計を実施。早ければ23年度にもポンプ施設の建築・電気機械設備、調整池の詳細設計。用地補償を進め、導水管や調整池、建築・設備工事を予定している。
自治医大アンダーは82年に供用し、下野二宮線がJR宇都宮線をアンダーパスする。対策では半地下式のポンプの地上化を実施。21年度に建設技術研究所が詳細設計をまとめた。今年度は用地調査や物件調査を行い、23年度には用地補償を進め調整池や設備の地上化工事に備えていく。
県の冠水対策は、08年に鹿沼市の市道0017号線が東北自動車道アンダーパスで車両が水没した死亡事故にさかのぼる。14年には主要地方道足利環状線山川アンダーの車両水没事故を受け、県は全アンダーのポンプ設備、排水路(流末)などの状況を再確認する緊急点検を実施。流末の詰まっている箇所などを早急に是正した。
緊急的なハード対策では、道路利用者への注意喚起看板、路面冠水時に水位の分かる冠水チェックライン、各アンダーの混同を防止するアンダー名版を設置。その後、降雨期に備え過去に冠水履歴のある箇所に路面監視カメラ(CCTV)を設置するとともに、冠水センサーに連動した自動通報装置や路面冠水情報板を設置している。未完了の6アンダーはこれらの対策を実施している。