道路管理者が全ての橋梁、トンネル等を5年に1度、近接目視で点検することが義務付けられる中、国土交通省は2巡目点検の3年目となった2021年度の点検結果等を道路メンテナンス年報としてまとめた。今回、21年度で1巡目点検が完了した国交省および47都道府県・20政令市が管理する重要物流道路などの道路舗装における点検結果と修繕実施状況が新規で盛り込まれた。舗装の1巡目点検は国交省では100%(約5万9000㎞)、都道府県・政令市では66%(約8万9000㎞)の点検が実施済みながら、修繕等に着手した割合は低水準にとどまっている。
点検の結果、判定区分Ⅲ(修繕段階)の舗装延長は、国交省で約7000㎞、都道府県・政令市で約1万1000㎞。割合はアスファルト舗装で国交省が約13%、都道府県・政令市が約12%、コンクリート舗装では国交省が約6%、都道府県・政令市が約4%。このうち修繕等措置に着手した割合は、国交省が17%(約1300㎞)、都道府県・政令市が19%(約2000㎞)と、いずれも低い水準だった。内訳はアスファルト舗装で国交省が約17%、都道府県・政令市が約19%、コンクリート舗装で国交省が約7%、都道府県・政令市も約7%。
橋梁・トンネル・道路附属物等の点検・修繕実施状況は、19年度~21年度の2巡目の3カ年で橋梁が61%、トンネルが53%、道路附属物等が60%となり、1巡目点検よりも着実に進んでいる。1巡目点検で早期または緊急に措置を講ずべき状態(判定区分Ⅲ・Ⅳ)の橋梁における地方自治体の修繕措置等の着手率は65%で、完了率は46%だった。国交省の着手率91%、完了率53%、高速道路会社の着手率81%、完了率60%をいずれも下回っている。
なお、判定区分Ⅲ・Ⅳとなった橋梁・トンネルは、次回点検まで(5年以内)に措置を講ずべきとされているが、地方自治体で5年以上経過していても措置に着手できていない橋梁が約3割、トンネルは約1割あることが明らかになった。