春日部市は、「市民・企業・行政のパートナーシップによる環境充実型まちづくり」を基本理念とした都市計画マスタープランを策定した。整備目標年次は二〇〇二年。同プランは、市内を「粕壁」(五平方km)、「幸松」(七・四平方km)、「武里」(七・一平方km)、「内牧」(五・二平方km)、「豊春」(七・八平方km)、「豊野」(五・三平方km)の六地区に分け、キャッチフレーズと目標で表現した将来像、具体的な整備方針を提案した、まちづくりの方向と地域にとっての重点項目をまとめている。
主な重点事項を見ると、春日部駅の再整備、商業施設の導入(粕壁)や、文化施設の立地(幸松)、武里駅周辺開発(武里)、歴史資料館、美術館の整備検討(内牧)、コミュニティ施設の建設(豊春)、温水プール・クアハウス、温室、植物園、学習施設など、広域的な施設整備検討(豊野)などが挙げられている。
地区別の主な構想は次のとおり。
【粕壁地区】
〈生活情報発信都市〉
▽住宅系地区=土地区画整理事業予定地の事業推進を図り、集合住宅の立地を含む中密度、中低層の住宅地を形成する
▽商業・業務系地区=東武伊勢崎線鉄道高架化に伴い、春日部駅を新たに整備し、商業施設を導入する。また、八木橋駅周辺地区は、駅舎、駅前広場を再整備するほか、一ノ割駅については西口を開設する
▽地域資源=市民が利用しやすい施設の整備を検討
【幸松地区】
〈活力と文化、歩いて楽ししい田園のまち〉
▽商業系地区=集客力を高めるような文化施設などの立地を検討。春日部駅東口不動院野線沿道には商業施設の立地を誘導
▽田園地区=農産物直売所の設置や倉松川、旧倉松川、中川沿いに散策路やサイクリングロードを整備
▽道路=春日部駅東口不動院野線の延伸など新たな幹線道路を検討
▽地域の資源=大落古利根川に、かつてあった灯台を復元、水と緑の軸や拠点と一体となった施設整備を検討
▽水と緑のネットワーク=新倉松橋付近の外郭放水路上に公園を設置
【武里地区】
〈四季が香るまち〉
▽商業・業務系地区=武里駅駅前広場および道路を整備するなど、周辺開発と合わせて商業施設や文化施設を集積。一ノ割駅は、駅前広場、道路などを整備
▽地域の資源=高齢者や障害者も利用できる公園を整備するほか、公民館、集会所の充実を図る
【内牧地区】
〈彩の郷・きらめき・ときめき〉
▽商業・業務系地区=北春日部駅東口駅前広場の整備や、駐車場の設置
▽地域の資源=内牧公園と黒沼耕地および周辺果樹園などの農地を一体的に整備し、レクリエーション拠点として、市街地と農村部の交流拠点の空間づくりを進めるほか、農産物直売所を整備。また、緑の拠点として歴史資料館や美術館など新規施設の整備を検討。さらに、塚内古墳群を周辺の緑と一体整備し、歴史博物館などの建設と併せた歴史とみどりの拠点づくりに努める
【豊春地区】
〈ふれあい豊かなまち〉
▽商業・業務系地区=駅前広場やロータリー、駐車場を整備し、豊春駅の交通拠点としての機能を高める
▽地域の資源=総合運動公園建設後に大沼公園の再整備を図る。また、地区住民が身近に利用できるコミュニティ拠点施設の建設を進める。特に、豊春駅東側の市営住宅跡地については、地区住民の意見を反映した計画づくりを進める
【豊野地区】
〈ワクワクのまち〉
▽田園地区=農業振興や後継者育成のための研究施設、農作業体験などのレクリエーションの場を整備
▽地域の資源=ごみ処理施設の余熱を利用した施設建設については、温水プールやクアハウス(温泉)だけではなく、温室や植物園、文化、学習施設など子どもからお年寄りまで、だれでも利用できるような広域的施設を整備する。また、デイケアセンター、リハビリテーションセンターや、シルバー人材センターなどを整備し、保健医療や福祉との連携を図ることも検討
▽レクリエーションエリア=地域で大麦を生産し、かつてあった地ビール製造を復活させ、地域で採れた農産物で料理とビールを販売