県那須農業振興事務所は、県営農地整備事業の練貫地区(大田原市)の計画概要をまとめた。区域面積約117ha、受益面積約84ha。圃場の大区画化と併せて、パイプラインへの自動給水栓設置や排水路の暗渠化など次世代型生産基盤技術を積極的に導入。換地によって市道用地を創設するほか、良好な圃場区画が形成されるように地区内の山林を集約する計画。総事業費は概算19億円、事業期間は2030年度までを想定。今年度に計画を決め、2023年度事業着手を目指している。
区域は一般県道東小屋黒羽線の北側に広がる水田主体の農地。東側は主要地方道大田原芦野線。地区の南側では98~04年度に県営金田北部地区圃場整備事業が行われた。
一帯は農地が不整形なうえに用水や排水に利用できる河川がなく、用水の確保には揚水機を利用。水路は用排水兼用の土水路で土砂の堆積や洗掘などによって通水能力が低下。道路も十分に整備されていない。
このため、道路や分離された用水路、排水路を備えた整形された圃場を整備。スマート農業に対応した次世代型生産基盤技術を積極的に導入し、生産性向上と経営規模の拡大を図る。85%以上の農地集積率を目指す。
計画では1haの大区画圃場を配置。圃場間の移動が容易で、土砂さらいや法面の草刈りが不要な暗渠型排水路、パイプライン用水路を布設し、自動給水栓を設置するなど作業や水管理の合理化、省力化を図る。
また、野菜の作付けゾーンも設定。農道は圃場出荷に対応し、集荷用トラックが路肩に停車しても車両のすれ違いができる幅6mを確保する予定。
事業による換地では市道分2・2haを創出。また、区域内に点在する非農用地の山林10・7haの特定用途用地換地を計画。良好な圃場区画が形成されるように山林の樹木を伐採して農地に用途を変更。集約した非農用地に植樹し、山林とすることを計画している。
練貫地区の北側は那須塩原市との行政境に接し、那須塩原側の佐野・三本木地区(区域面積約109ha)でも農地整備事業の計画策定に向けた調査が行われている。
管内では練貫、佐野・三本木のほか、大田原市内の親園鴨内川(約90ha)、大田原南(倉骨、約60ha)でも調査が進められている。