今後のインフラメンテナンスの在り方を検討してきた国土交通省の有識者会議の提言がまとまり、2日に斉藤鉄夫国土交通大臣へ手交された。2013年の「社会資本メンテナンス元年」から10年目を迎える中、10年間の取り組みを再点検した上で「総力戦で取り組むべき次世代の『地域インフラ群再生戦略マネジメント』~インフラメンテナンス第2フェーズへ~」を打ち出している。斉藤大臣は「インフラがハイスピードで老朽化していく中、メンテナンスは大きな政策課題。どうすれば最小のコストで最大の効果を出すことができるか。国土交通省としては今回取りまとめていただいた提言を軸にして、国民の命と暮らしを守っていくインフラメンテナンスを作り上げていく決意」と話した。
提言を提出した社会資本整備審議会・交通政策審議会技術分科会の磯部雅彦技術部会長は「『地域インフラ群再生戦略マネジメント』という名前を付けて、新たなメンテナンスの体制を作っていこうということで取りまとめを行った。ぜひ意図を汲んでいただいて、関係する省庁や地方公共団体、さらに民間企業も巻き込んで連携した格好で提言を進められるようお願いしたい」と要請した。
また、同部会社会資本メンテナンス戦略小委員会の家田仁委員長は、笹子トンネルの天井板崩落事故から10年がたつ中で「危機感はまだ十分ではないと思っている。あのような事故が絶対に起こらないためには、国民全員がインフラメンテナンスこそが、われわれのインフラや生活を支えているのであり、そこで働いているメンテナンスの技術者や担当者に拍手をしようという雰囲気づくりが大事」と述べ、危機感を維持することが重要と強調した。
今回の提言では、今後取り組むべき施策の方針として、各地域の将来像に基づき複数・広域・多分野のインフラを「群」として捉え、総合的かつ多角的な視点から戦略的に地域のインフラをマネジメントすることが必要と指摘。事業者や市区町村がそれぞれ機能的、空間的、時間的なマネジメントの統合を図ることで持続可能なインフラメンテナンスを実現し、多様な主体による「総力戦」での実施体制の構築を図ることを求めている。また、周辺市区町村や地域の民間事業者などと連携した分野横断的な包括的民間委託等による点検・修繕も提案した。
【写真=磯部部会長(右)が斉藤大臣へ提言書を手交した】