県は、水道広域化推進プラン案を策定した。県北・県央・県南の3ブロックに分け、現状分析や多様な広域化のシミュレーションを通じ、広域化・広域連携の効果の比較、推進方針、具体的な取り組み内容、スケジュールを示した。広域化のシミュレーションでは管理の一体化、施設の共同化、給水区域の見直しなどにより削減効果を試算するとともに、実現に向けて課題にも言及。県市町村課によると、検討に当たっては管理の一体化から開始することを基本とし、具体化に向け23年度から市町(水道事業者)の要請に応じて基盤強化計画の策定に備える。
ブロックのうち県北は大田原市、矢板市、那須塩原市、さくら市、那須烏山市、茂木町、塩谷町、那須町、那珂川町の9市町。県央が宇都宮市、日光市、真岡市、上三川町、高根沢町、芳賀中部上水道企業団の益子町・市貝町・芳賀町の8市町。県南は足利市、栃木市、佐野市、鹿沼市、小山市、下野市、壬生町、野木町の8市町。
ブロック別40年後の給水人口の見通しでは、県北が大田原・那須塩原・さくらの3市を除く6市町が半減。県央は日光と芳賀の2市町が半減すると予測。水需要の見通しでは県央が40%程度、県央で25%程度減少。県南では全市町の人口が緩やかに減少し、30%程度と予想した。
施設の更新需要では3ブロックとも中長期的に、更新や耐震化対策など建設改良費の増加を見込んだ。財政収支のうち給水収益は2058年度に現在の7割程度、資本的支出が4割程度増加。供給単価ベースで県北が1・9倍、県央1・8倍、県南1・7倍を試算し料金改定の検討が必要とした。
広域化のシミュレーションのうち管理面として水質検査、施設管理、管路管理、台帳システム、受付検針、メーター、システムを一体化することで、県北が年間2億円、県央2億8000万円、県南が3億5000万円の削減が可能。給水人口に応じて浄水場や配水池、県水への統合なども踏まえ施設の共同化により県北が19億円、県央で13億5000万円の削減効果を試算している。
経営の一体化や事業統合の効果では、3ブロックとも中長期的に供給単価の削減効果があるとした。
23年度以降のスケジュールでは、県は広域化・広域連携に取り組む圏域や事業体への助言と指導。施設の共同化など具体的な施設整備に着手するため基盤強化計画を策定する。計画は全県的なものを県、市町は勉強会や圏域などでの検討を踏まえ原案を作成。国に交付金を申請するため原案を県に提出する。
本県では、17年2月に市町村等水道事業広域連携等検討会を組織。推進プランは検討会やブロックごとの分科会で、年3回程度の会議や意見交換などを通じて20~22年度の3カ年で策定を進め、業務を日水コンが担当している。