佐野市教育委員会は、2028年4月の開校を目指す「佐野西中学校区義務教育学校」(大橋町2026)の整備方針をまとめた。西中を拠点校に天明小の一部、植野小の一部、旗川小、吾妻小の5校を統廃合。事業期間は22~27年度の6年間。23~24年度の2カ年で設計・事業者を選定し、25~27年度の3カ年で施工する。新校舎の面積は8800平方mを想定し、概算事業費は約66億円を見込んでいる。
22年度は公募型プロポーザルで基本構想策定と民間活力導入可能性調査を監査法人トーマツ(東京都千代田区)に委託した。23年度は保護者や地域、教職員代表で構成する「開校準備委員会」を設置。主に学校運営ソフト面の検討を開始する。
義務教育学校は小学校6年間、中学校3年間を9年間の一貫したカリキュラムで運営する。通学区域は天明小が大橋町のみ。植野小は七軒町、赤坂町、君田町。旗川小は並木町、免鳥町、小中町。吾妻小は村上町、上羽田町、下羽田町、高橋町。
新校舎は西中現校舎東側校庭に建設を検討。19年東日本台風来襲の際に校庭が冠水したため、浸水対策を講じる予定。生徒は新校舎建設期間、現校舎で学習。新校舎の完成を待ち、引っ越しする。小中学生は同じ校舎で学習し、体育館や特別教室は共用となる。
開校時の学級数は29(1~6年生各3、7~8年生各4、9年生3)、児童生徒数は867人(1年生80人、2年生97人、3年生82人、4年生94人、5年生97人、6年生99人、7年生108人、8年生107人、9年生103人)と推計した。
1990年度の市内児童生徒数は1万5654人(小学生1万162人、中学生5492人)だったのに対し、2022年度は7967人(小学生5294人、中学生2673人)に半減。吾妻小の23年度入学生は2学年が同時に学習する複式学級の見通し。
学校施設の多くは高度経済成長期に建設し、一斉に老朽化が進行。充実した教育活動を継続展開していくには、大規模な施設改修が必須。築年数は拠点校の西中が40年、天明小は50年、植野小が47年、旗川小は47年、吾妻小が38年。
校舎の健全度は部位ごとにA(良好)、B(部分的に劣化)、C(広範囲に劣化)D(要対応)の4段階で評価。総合評価では健全度を100点満点で数値化した。拠点校の西中は最も低い31点(屋根屋上C、外壁D、内部仕上げC、電気設備C、機械設備C)だった。
天明小は37点(D、C、C、C、C)、植野小は37点(D、C、C、C、C)、旗川小は31点(C、C、C、B、C)、唯一築40年未満の吾妻小でさえ45点(C、C、C、B、C)。市内3校目の義務教育学校を整備し、児童生徒数を適正化する。
西中の都市計画区域区分は市街化区域、用途地域は準工業地域。学校敷地3万3149平方m、運動場1万9158平方m。他都市で実績があるPFIの民間活力による学校施設整備維持管理手法導入の可否を検証。財政負担の縮減や平準化の有効性を確認する。
市教委は22年1月、市立小中学校適正規模・適正配置基本計画後期計画実施計画Ⅰ期(23~29年度)を策定。小中学校の義務教育学校化を進める指針とし、複数校を1つのまとまりで整備。複式学級の解消、施設老朽化対策、適正規模の観点から内容を整理した。
引き続き佐野小を拠点校とする城東中学校区義務教育学校整備事業に24年度から着手する。新校舎の面積は7500平方m規模。城東中、佐野小、天明小の一部、城北小の一部の4校を統廃合。事業期間は29年度までの6年間。概算事業費は約56億円。
前期計画(14~22年度)では「あその学園義務教育学校」(田沼西中、戸奈良小、三好小、山形小、閑馬小、下彦馬小、飛駒小、田沼小)が20年度に開校。「葛生義務教育学校」(葛生中、常盤中、葛生小、葛生南小、常盤小、氷室小)が23年度に開校予定。
学校は児童生徒が1日の大半を過ごす学習や生活の場であり、豊かな人間性を育むのにふさわしい機能的で快適、安全性、防災性、防犯性、衛生的な環境を備えた校舎が不可欠。集団の中で切磋琢磨する機会が少ない複式学級を解消し、適正規模基準に合致させる。