厚生労働省が策定作業を進める、2023年度から27年度までの5カ年を計画期間とする「第14次労働災害防止計画(案)」が明らかになった。取り組みに対する具体的な数値目標が盛り込まれており、建設業の死亡者数は27年までに22年と比較して15%以上減少させるとした。墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントに取り組む建設業の割合は27年までに85%以上とする。建設業における死亡災害の約4割が墜落・転落災害であることから、リスクアセスメント対策を行う事業場の割合が85%まで進めば、15%の災害減少が期待できるとした。
近年、死亡災害の発生は減少傾向にあるものの、21年の死亡者数は867人で、うち建設業が288人と最も多い。事故の型別に見ると、建設業では高所からの「墜落・転落」が110人で最多となっている。
次期計画における業種別の労働災害防止対策の推進のうち、建設業の対策では墜落・転落の恐れのある作業について、墜落により労働者に危険を及ぼす恐れのある箇所への囲い、手すり等の設置、墜落制止用器具の確実な使用、はしご・脚立等の安全な使用の徹底など、高所からの墜落・転落災害防止に取り組む。併せて墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントも行う。10月に公表した「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合報告書」を踏まえ、足場の点検の確実な実施、一側足場の使用範囲の明確化などの対策も強化する。
また、デジタル技術の活用を推進するため、国土交通省と連携してデジタル技術を活用した建設施工の自動化・自律化・遠隔化といった新たな技術の導入に伴う安全対策に関する検討を進める。さらに、地震、台風、大雨等の自然災害で被災した地域の復旧・復興工事における労働災害防止対策の徹底も図る。
他にも「職場における熱中症予防基本対策要綱」や「騒音障害防止のためのガイドライン」の周知・指導などの健康障害防止対策も推進する。