政府の2023年度予算案決定に向けた大臣折衝が21日に行われ、国土交通省関係では、社会資本整備総合交付金における地域公共交通再構築事業の創設などが鈴木俊一財務大臣から認められた。利用者の大幅な減少等により現状のままでは地域交通ネットワークの維持が難しい状況になっている地域で、地域戦略と連動した持続可能性・利便性・効率性の高い地域交通ネットワークへの再構築を図るため、新たに社会資本整備総合交付金に基幹事業として創設するもので、同交付金の創設以来、基幹事業の追加は初めてとなる。
計画では、地域づくりの一環として、地域公共交通ネットワークの再構築に必要なインフラ整備に取り組む地方自治体への支援を可能にするため、自治体が地域公共交通計画や立地適正化計画その他のまちづくり・観光計画において中長期的に必要なネットワーク(鉄道・バス路線)を位置付けた場合に、ネットワーク形成に必要な施設整備などに関する地域の取り組みを支援する。
交付対象事業は、▽地域公共交通特定事業の実施計画の認定を受けた、持続可能性・利便性・効率性の向上につながる施設整備▽鉄道施設(駅施設、線路設備、電路設備、信号保安設備等)の整備▽バス施設(停留所・車庫・営業所・バスロケ施設・EVバス関連施設等)の整備―となる。補助率は2分の1で、自治体からの補助金を受けて民間事業者等も事業を実施することが可能。
また、都市・地域交通戦略推進事業における社会資本整備総合交付金・補助金を拡充。立地適正化計画に位置付けられた、都市の骨格となる鉄道・LRT・BRTなどの公共交通に対する支援を強化する。レールや架線といった走行空間の整備を支援対象に追加するほか、公共交通軸の形成に必要な交通施設整備について、交通事業者が主体となる場合にも補助率を従来の3分の1から2分の1にかさ上げする。
予算折衝では、他にも地域公共交通確保維持改善事業における「エリア一括協定運行事業」の創設も認められている。
【写真=斉藤国交相(左)と鈴木財務相(右)が23年度予算折衝を行った】