国土交通省と総務省は11日、地方公共団体を対象とした施工時期の平準化について、2021年度の進捗・取り組み状況をまとめ、明らかにした。入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果などをもとに見える化したもの。都道府県、政令都市・市区町村ごとに「平準化率」を示した。都道府県は全国平均0・80、市区町村など0・62で20年度に比べ改善している状況。また、平準化に向けた債務負担行為設定など「さしすせそ」の取り組み状況も併せて示しており、自治体担当者は近隣自治体、同規模自治体の動向なども把握できるようになっている。
平準化率は、年度全体の月あたり工事平均稼働件数を分母に、4~6月期の月あたり工事平均稼働件数を分子に算出。データは日本建設情報総合センターのコリンズ・テクリスセンターに登録された工事を基にしている(1件あたり500万円以上の工事が対象)。また、都道府県、市区町村別に平準化率で地図を色分けして公表している。
都道府県の平均平準化率は、20年度の0・77から0・03ポイント上昇して0・80となった。個別にみても0・60未満はなく、トップは宮城県の1・00。
市区町村の場合は、地域ごとに差異があるが、全国平均の0・62に対して平均を下回ったのは関東0・60、中部0・52、近畿0・55の3地域。前年度比で近畿が0・01ポイント下がったほかは改善している数値となっている。
人口規模別に市町村の状況をみると、人口10万人以上(市区)、人口10万人未満(市区)、町村いずれも5割超が平準化率0・60を下回る結果となっている。
平準化の着実な推進に向けた「さしすせそ」の取り組み(債務負担行為の積極的な活用、柔軟な工期設定、速やかな繰越手続き、積算の前倒し、早期執行のための目標設定等)の各方策は、一定の進展がみられている。 取り組みのうち債務負担行為の設定は、人口10万人以上の市区では263団体のうち218団体、人口10万人未満の市区町村1458団体中605団体が活用している。工期1年未満工事の債務負担行為については10万人以上の市区が153団体、10万人未満438団体で活用。いずれも前年度に比べ増加している。ゼロ債務負担行為は10万人以上の市区で184団体、10万人未満334団体となっており、活用している団体が増えている。
単独事業で債務負担行為を設定してるのは、都道府県・政令市と人口10万人以上の市区で271団体、10万人未満の市区町村は456団体。補助金・交付金事業の場合は、都道府県・政令市と10万人以上の市区で177団体。10万人未満の市区町村は356団体となっており、設定する団体は増加している。
施工時期の平準化は、円滑な施工の確保に加え、年間を通じた工事量の安定による工事従事者の処遇改善、人材・資材・機材などの効率的活用の促進により建設業者の経営健全化などから、公共工事の品質確保につながる。両省は、20年度から見える化を行ってきた。 なお、11日には両省の連名で、今回の見える化を踏まえた取組の推進について、都道府県、政令市などへ通知。土木部局にとどまらず、財政部局、農林や建築などの部局を含め、各発注部担当部局が緊密に連携してほしいなどとしている。さらに、建設業団体にも参考で通知している。