23日に召集された第211回通常国会における施政方針演説で、岸田文雄首相は、今年は関東大震災から100年の節目を迎え、激甚化・頻発化する災害への対応も先送りのできない重要な課題との認識を示し「5か年加速化対策の着実な推進に加え、中長期的・継続的・安定的に防災・減災、国土強靱化を進めるため、新たな国土強靱化基本計画を策定する」と語った。
さらに、機動的に自治体を支援するとし、大雪や鳥インフルエンザなどの対応にも万全を期す。また、台風や豪雨などに対応するための予報高度化、猛暑から人命を守るための熱中症対策の強化、北海道知床の遊覧船事故を受けた旅客船の安全性確保のための法案を提出し、災害や事故への対応力を強化する。
賃上げについては、新しい資本主義に関し説明している。物価上昇を超える賃上げが必要としており、経済成長のための投資と改革に全力を挙げる。公的セクターや政府調達に参加する企業で働く人の賃金を引き上げる。中小企業においても賃上げ実現に向け、生産性向上、下請け取引の適正化、価格転嫁の促進などの対策も一層強化するなどとし、6月までに日本企業に合った職務給の導入方法を類型化し、モデルを示すとした。
GX(グリーントランスフォーメーション)に関しては、官民で10年間、150兆円の投資を引き出す「成長志向型カーボンプライシング」を掲げる。その中で、国による20兆円規模の先行投資の枠組みを新たに設けるとし、徹底した省エネ、水素・アンモニアの社会実装、再エネ・原子力など脱炭素技術の研究開発などを支援する。
地方創成では国立公園なども活用した観光地の魅力向上に取り組む。また、地方経済の基盤である高速道路網について、老朽化対策と4車線化などの進化・改良の取り組みを着実に実施するための制度整備を行う。地域公共交通の「リデザイン」に向け、国の支援を拡充する。さらには、地方への企業立地支援、海外からの人材・資金の呼び込み、官民連携によるスタジアム、アリーナ、文教施設の整備、地方議会活性化のための法改正にも取り組む。
デジタル田園都市国家構想については、光ファイバー、5Gなどのデジタルインフラの整備を着実に進め、中山間地域150か所でプロジェクトを実現するとした。