国土交通省の持続可能な建設業に向けた環境整備検討会が、とりまとめに向けた議論に入った。6日に開催した第7回検討会では論点整理を行った。これまでの議論から▽契約▽重層下請構造―などに関して意見を論点としてまとめた。民間建設工事について、標準請負契約約款(民間約款)利用などの透明性を高め、価格などの協議プロセスを確保。また不当廉売については時間をかけて議論が行われた。次回以降の骨子議論に反映させる。
これまで、2~3回でヒアリング、4~6回はテーマをそれぞれ設定して検討。建設業の持続可能性を妨げる課題として、資材価格の変動、担い手の確保など、その解決に向けて議論してきた。7回からとりまとめに入り、9回までを予定し、年度末にはまとめる考え。
検討会の冒頭、長橋和久不動産・建設経済局長は、これまで6回の検討会で行われた多面的、多岐にわたり、深い議論に感謝の言葉を述べ「とりまとめに向けた論点整理に入る。課題は明確だが、それに対応して、具体的に何をやっていくのか。今回、次回と最後の3回目で意見を伺いながら、整理して課題を浮き彫りにし、対応するポイント、選択肢をはっきりさせていく」とあいさつした。
契約に関する論点は、民間発注者を念頭に置いた議論。契約の透明性や協議プロセスの確保といった観点から、民間約款の原則的利用の促進と、資材価格変動など見据えた請負代金額の変更を求める条項(民間約款第31条)の明示。第31条に関しては経済事情の激変、物価・賃金の変動などの定義があった方が協議しやすい。受注者側から言い出しにくいことが多いため、優越的地位の濫用についても考え方を示す。また、不当に安い請負代金に基づく勧告対象に民間発注者を含める方向性も出ている。
重層下請構造の適正化の論点は、通常必要と認められる原価を下回る請負契約、いわゆる不当廉売の制限について。多様な要因があるが、安売りの原資が労務費となることについて制限する必要があるとの考え方。また、原価としての労務費(単価)には、基準のようなものを作っていく必要があるという認識で、中央建設業審議会による勧告を行う意見もあった。
なお、次回以降の議論となる骨子は、整理した論点全般にわたって盛り込む構え。