記事

事業者
国土交通省

【設計労務単価】全国全職種平均5・2%増/11年連続で上昇

2023/02/14 本社配信


 国土交通省は14日、3月から適用する公共工事設計労務単価を明らかにした。2022年度に行った公共事業労務費調査に基づき決定したもので、全国全職種(51職種)の単純平均は前年度比5・2%増で9年ぶりとなる5%以上の大幅な伸びを示した。全国全職種の加重平均値は2万2227円で、単価算出方法を大幅に見直した2013年度以降、11年連続で上昇を維持。変更前の12年度比で65・5%増加している。

 単価設定は、最近の労働市場の実勢価格と適切・迅速に反映し、必要な法定福利費相当額や義務化分の有給休暇取得に要する費用のほか、時間外労働時間を短縮するために必要な費用を反映させた。新たに、元請企業から技能者に対して直接支給している手当を反映させている。下請企業経由の手当は従前より反映していた。なお、新型コロナウイルス関連の特別措置は、全都道府県、全職種の中で10カ所程度が下がっている状況で影響は軽微なため行わない。

 同日の会見で斉藤鉄夫大臣は「政府の最重要課題として、社会全体の賃上げに向けた取り組みが進められている。建設業についても設計労務単価の引き上げが、現場の技能、労働者等の賃金水準の上昇につながる高循環が持続できるよう引き続き官民一体で取り組み、一層の推進に努めたい」と話した。また、賃上げが進んだ要因として「建設業4団体との意見交換会などにおいて官民一体となって賃上げに向けた機運醸成を進めてきたことに加え、安定的な公共事業予算の確保、適切価格での公共工事の発注とダンピング対策、適正な請負代金での下請契約の締結促進などの取り組みが複合的に結びついたことによる成果と認識している」と答えた。

 主要12職種の加重平均値は2万822円で、前年度比では単純平均で5・0%の伸びに。「交通誘導警備員A」が7・1%、「軽作業員」と「交通誘導警備員B」がいずれも6・3%増、「運転手(一般)」は5・8%増、「普通作業員」と「運転手(特殊)」が5・7%増などと高い伸び率を示した。

 労務単価には事業主が負担すべき必要経費分(法定福利費、安全管理費など)が含まれておらず、下請け代金に必要経費分を計上しない、または下請け代金から値引くことは不当な行為であることから、国交省では引き続き注意喚起している。

 なお、「建築ブロック工」は十分な有効標本数が確保できず、単価設定に至らなかった。

新たな労務単価を発表する齊藤国交相

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら