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国土交通省

【災害復旧】迅速かつ効率的に/市町村向けガイドライン改訂

2023/02/28 本社配信


 国土交通省は市町村の災害復旧事業について、円滑な実施のためのガイドラインを改訂する。年度末までに公表を予定しており、2月28日には検討会(木下誠也委員長・日本大学危機管理学部教授)に諮り意見を求めた。また、大規模災害でのさらなる査定の効率化・簡素化、復旧の優先順位を踏まえた査定の仕組みなどにも、改善に向けて取り組む。

 現行のガイドラインは2022年5月に公表されたもの。実際に運用していく中で改善するよう、自治体への説明会、アンケート調査などの意見から、支援制度や取り組みがより活用しやすい形を目指して改訂している。それぞれのシーンに応じて、応急対策職員派遣制度、災害査定官による災害緊急調査、代行制度、緊急度に応じた契約方式の選定などの制度が活用できるのか、一覧表示するなどの改善を図っている。ガイドラインは検討会での意見を踏まえ修正、3月末に公表する。

 今後の取り組みについては大きく4つの方向性を示している。

 全国で「早期確認型査定(試行)」の実施や「デジタル技術活用の手引き(案)」の作成など、大規模災害でのさらなる査定の効率化・迅速化・簡素化を図る。また、地域の実情を踏まえた緊急順位の仕組みを検討し、復旧の優先順位を踏まえた査定の実施につなげる。ガイドラインを活用した平時からの取り組み強化や災害対応力の底上げとして、活用事例集、継続的な研修等を開催。民間事業者などによる地方公共団体が行う災害復旧を支援する仕組みの普及促進へ、自治体が重視するニーズに対すう支援メニューを検討する。

 早期確認型査定は22年8月豪雨、9月の台風14号の際に試行している。前査定として、原則現地で基本事項のみを確定。申請金額は被害報告額を使用(積算不要)、図面は起終点や被災断面(範囲)が分かる写真。査定後は、決定した起終点で詳細や測量・設計を実施、工事発注と同じ積算で金額を算定し後査定を受検するもの。検討会でも高い評価を得ており、早期の本制度化が待たれる。

 デジタル技術活用の手引きは、素案を22年5月から全国自治体で実証を開始した。三次元データの活用による迅速・安全な被害状況の把握と早期復旧などのメリットがある。

 なお、検討会の後、木下委員長は「早期確認型査定は、かなり有効だ。早く査定ができるので、復旧作業も早く対応できる」と期待を寄せている。また、デジタル技術活用で査定も変わっていくだろうと話した。

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