国土交通省は直轄河川事業における2023年度新規事業採択時評価の対象となる、利根川・江戸川河川改修の田中調節池、江戸川特定構造物改築の江戸川水閘門など4事業について概要を明らかにした。田中調節池は約470億円、江戸川水閘門が約540億円の総事業費を試算した。
田中調節池は、千葉県柏市、我孫子市を事業箇所とし、洪水調節機能の向上として調節容量を現在の約6100万立方mから約7200万立方mへ向上させる。容量アップへ堤防をかさ上げ、合わせて越流堤を約6・2㎞上流へ移設するとともに、かさ上げする。かさ上げにより貯留できる水位が約80㎝上昇させることで、約1100万立方mの容量増加を図る。
主な事業内容は、越流堤の移設、周囲堤・囲繞堤の整備、排水門の整備など。事業費のうち工事費は251億5000万円。内訳は、築堤(1万5500m)82億8000万円、樋門・樋管・排水門(1カ所)9億2000万円、樋門・樋管(6カ所)30億6000万円、越流堤移設89億8000万円、その他18億3000万円、付帯工事として排水路(4460m)20億8000万円。事業期間は23~35年度の13年間。なお、稲戸井調節池の池内掘削の掘削土砂を堤防かさ上げで活用する考え。
江戸川水閘門は千葉県市川市と東京都江戸川区が事業箇所。老朽化した江戸川水閘門を下流側約80mの位置に改築し、江戸川下流部で河川整備計画の目標流量5000立方m/Sのうち1000立方m/Sを旧江戸川へ適切に分派させる。
事業内容は水門・閘門工、電気・機械設備工、管理用通路、現施設撤去。事業費のうち工事費は313億9800万円。内訳は、水門・閘門97億4500万円、ゲート設備・上屋61億7300万円、電気・通信設備19億6900万円、管理用通路8億8000万円、低水護岸12億9400万円、築堤工17億4700万円、仮設工86億7000万円、施設撤去9億2000万円。事業期間は23~33年度の11年間。
なお、ほか2事業は、高津川総合水系環境整備事業(島根県)、大分川総合水系環境整備事業(大分県)。
7日には社会資本整備審議会河川分科会事業評価小委員会が開かれ、4事業について審議。23年度の予算化は妥当と結論付けた。