国土交通省と日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会の建設業4団体による意見交換会が29日に開かれ、技能労働者の賃金について、今年は「おおむね5%の賃金上昇」を目指し、全ての関係者が可能な取り組みを進めることを申し合わせた。時間外労働の上限規制もあり全ての関係者が週休2日(4週8閉所等)の確保などにより「工期の適正化」に取り組むことも合意している。
斉藤鉄夫大臣は、建設業の賃金引き上げについて、担い手確保のため物価上昇を超える賃上げへ官民が協力して取り組むことが必要と指摘。設計労務単価の前年度比5・2%増での11年連続上昇、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録や能力評価からのレベル別賃金目安を夏目途に示し賃金上昇を促すなどの方針を説明。働き方改革での工期の適正化、施工時期の平準化、DXの推進などに取り組むほか、同日に開かれた持続可能な建設業に向けた環境整備検討会のとりまとめ内容についても、業界からの意見を聞きながら制度改正に向けての検討を進めると話した。
担い手確保のために、技能労働者の賃上げが設計労務単価の上昇を通じて適正利潤の確保や、さらなる賃上げにつながる好循環の継続が必要とした。その上で岸田首相から公共工事設計労務単価の引き上げが現場に着実に届られ、賃上げにつながるよう対応をとの指示があったことも踏まえ、おおむね5%の賃金上昇の目標を提案し、官民で申し合わせに至った。
工期の適正化については、国交省は全ての直轄工事を週休2日で発注するとともに、厚生労働省と連携し主に民間発注者を対象に適正な工期が設定されるよう働きかけを強めるなど、週休2日を標準として確保できるよう、工期の適正化や施工時期の平準化などを推進している。時間外労働の上限規制適用に向け、適正な工期設定による働き方改革の推進や生産性の向上など、官民一体となった取り組みが必要であり、申し合わせた。
なお、建設キャリアアップシステムについて斉藤大臣は、技能労働者の3人に1人が利用する水準に到達したものの、能力評価の進捗は道半ば。専門工事業団体を中心に会員企業などへの積極的広報などを求めた。さらに、技能・経験に応じたレベル別の賃金目安を夏ごろめどに示し、職種ごとにレベルに合わせた賃金が上昇していくよう取り組んでいくと話した。