県は、佐野市の1級河川菊沢川下流約5㎞の改修を検討している。菊沢川は市が国道50号沿線開発構想に位置付けた44・2haの産業団地計画エリアの中央部を北西から南東に流れており、2019年東日本台風で氾濫。渡良瀬川合流部から50号上流の田島町にかけて広範囲にわたり浸水した。県安足土木事務所によると、同地の菊沢川は毎秒20立方mの流下能力しかなく、河川断面の拡幅や法線の是正など市の産業団地計画と整合を図り、整備に向け調整を進めていく見通しを示した。
菊沢川は田沼地区の田沼都市下水路から接続。市の中心市街地を南流して渡良瀬川に合流する。改修検討区間は合流部から上流へ約5㎞。東日本台風で浸水したエリアが対象。改修設計はオリエンタル技術開発が担当している。
浸水の原因は想定を超える降雨量に加え、樹木の繁茂や土砂が堆積しており、河積が阻害され流下能力が確保されていないこと。河道が屈曲し狭小な断面が氾濫を助長したとしている。
菊沢川は下流端の船津川町の直轄管理区間に菊沢川排水機場を設置。上流側に市道橋の川田橋、下菊田橋、深田橋、天神橋、東武佐野線と並行する主要地方道佐野行田線椿田橋が架設され、改修に伴い架け替えの必要性などを検討する。
市の産業団地計画は、造成可能エリアを確定するため22年度から地権者らの意向調査に着手。23~25年度の3カ年は地権者らの同意形成や各種手続き期間に充てる。26年度を目途に詳細設計を委託し、27~29年度の3カ年で基盤整備工事を進める方針。
計画地は佐野行田線と国道50号が相互乗り入れする田島IC南側一帯の市街化調整区域で、一部が農用地区域。土地利用状況は佐野行田線沿線に物流施設や事業所が立地し、耕作放棄地が点在。農用地区域は集団性が乏しく、営農意欲調査で除外の可否を検討する。
地区を南北に貫流し、渡良瀬川に合流する1級河川歳川西側は羽田工業団地(26ha)に接している。並行する佐野行田線と東武佐野線の北側には田島駅が立地。国道と県道の結節点であり、東西南北への利便性に優れる。産業系用途への拡大発展性が望めるエリア。
菊沢川下流は、22年度県議会現地調査を実施。要望では第2次市総合計画中期基本計画、市都市計画マスタープラン、国道50号沿線開発構想に新たな産業拠点として整備を推進するエリアとし、産業の活性化や雇用の促進に貢献する新たな産業拠点と併せ、菊沢川の一体的な整備を図ることの必要性を求めた。