栃木市は、2023年度の巴波川と永野川流域総合治水対策をまとめた。巴波川流域は普通河川旧赤津川と清水川、準用河川県庁堀川が対象。永野川流域では排水施設、調節池、水路改修を講じる。23年度は事業費11億9147万3000円を措置。夏を目途に予算額4億3000万円の平井川排水施設(薗部町4丁目ほか)、2億5000万円の清水川地下貯留施設(祝町)、5000万円の旧赤津川第2調節池(箱森町)、4000万円の旧赤津川第1調節池(錦町)の一般競争入札を公告する。25年度の完成を目指し、総事業費70億円(巴波川流域50億円、永野川流域20億円)を見込んでいる。
23年度の委託料は薗部4丁目ほか浸水対策7910万円(測量410万円、設計7500万円)、東郷堀川調節池2400万円(物件調査400万円、詳細設計2000万円)、旧赤津川調節池設計1900万円、清水川調節池測量1160万円。
2015年関東・東北豪雨、19年東日本台風の2度にわたる水害に見舞われ、市が管理する支川の普通河川や準用河川、水路では内水被害が発生。県事業と整合を図りつつ、財源は国の緊急自然災害防止対策事業(充当率100%、交付税措置率70%)を活用する。
【巴波川流域】
支川から巴波川に流入する3万1000立方mを抑制し、本川の負荷を軽減。支川の対策容量は40万300立方m。計43万4000立方mの対策容量を確保し、浸水被害解消につなげる。旧赤津川に第1~第3調節池、清水川に第1~第2調節池を築造する。
調節池5カ所の容量は5万立方m(5ha)。県庁堀川2カ所と清水川1カ所の公共施設地下に貯留施設を築造。3カ所の貯留施設で8000立方mの流出を抑制する。旧赤津川から荒川防災調節池には延長100m(容量27万3000立方m)の放水路を施工中。
22年度は旧赤津川の第2調節池の用地測量と詳細設計をフィールドプランニング、第1調節池の用地測量を栃木県用地補償コンサルタントに委託。清水川は測量を栃木県用地補償コンサルタント、地下貯留施設詳細設計を水環境プランニングに委託した。
旧赤津川の第1調節池は容量1200立方m(1200平方m)、第2調節池は2000立方m(2000平方m)、清水川地下貯留施設は1200立方m(1200平方m)。その他は用地購入、物件移転補償、不動産鑑定手数料に2億8731万円を配分した。
【永野川流域】
過去に水害が多発した薗部町4丁目や平井町付近の治水対策を強化する。東日本台風時には両エリアで浸水面積40・2ha、浸水被害460戸以上(床上浸水240戸、床下浸水220戸)の被害が発生。再度災害を防ぎ、一帯の安全度を向上させる。
栃木農業高校周辺部一帯に調節池4カ所を築造。容量は12万立方m(2・2ha)。排水ポンプ場は本川に沿う形で上流から下流にかけ3カ所を整備する。23年度の平井川排水施設のポンプ排水能力は毎秒2・3立方m。一般家庭へは宅内貯留や浸透施設設置を促す。
22年度は平井町の測量を落合測量設計、調節池測量と第1調節池用地測量を拓洋測量設計、地質調査をフジタ地質、調節池詳細設計を三井共同建設コンサルタント、排水施設用地測量と用地調査を藤成測量、排水施設詳細設計を三立調査設計に委託した。
【県事業】
巴波川は河川激甚災害対策特別緊急事業に採択され、県が延長2400mの地下捷水路を築造する。25年度の完成を目標に総事業費は153億円。永野川は災害復旧助成事業に採択され、県が改良復旧を施工中。23年度の完成を見据え、総事業費は192億円。