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【合流式下水道】新たな事業制度を/施策のあり方検討で提言案

2023/06/02 本社配信


 国土交通省は、年度末で合流式下水道緊急改善事業が完了することを受け、今後のあり方を検討しており、提言案を明らかにした。これまで20年間にわたり実施してきた緊急改善は、年度末でほぼ目標の達成が見込まれている。その一方で、課題もあり、水域の特性と水環境へのニーズと利用用途に応じた対策強化、河川部門など多様な主体との連携、感潮河川では局所的な水質悪化があるなどから対応していく必要がある。提言は今月中にまとまる見通しで、新しい事業制度の検討につなげる。

 合流改善事業は2002年度にスタートし汚濁負荷物の削減、きょう雑物の削減などに取り組んできた。事業を実施している191都市では年度末をもって対策完了が見込まれている。

 緊急改善事業以降の課題としては、局所的な水質悪化が生じやすい特性の河川では水域全体での対策強化が必要であり、事業開始から20年を経て水環境へのニーズ変化、公共性の高まりなどに併せて、下水道事業としてのさらなる水環境への貢献も必要となっている。また、下水道対策に加えて、河川対策や地域住民と協力した総合的な取り組み、環境・河川部門や地域、企業など多様な主体との協議会でニーズを的確に把握することも求められる。

 今後の合流式下水道施策のあり方として、多様な主体との連携、国民目線の分かりやすい評価指標と目標の設定、水域の目標に応じた対策の推進を基本的な考え方に据えて取り組む。対策の実施期間は目安として5~10年程度を設定するものの、地域の実情によりことなるため柔軟性も確保する考え。

 具体的な対策メニューとしてあがるのは、貯留施設整備(雨水滞水池、雨水貯留管など)、簡易処理の高度化施設導入、分流化・部分分流化の推進、遮集量の増強や放流先の変更、きょう雑物対策、維持管理の工夫、総合的な対策など。

 提言案は、合流式下水道緊急改善事業の総合的評価と今後のあり方検討委員会で議論したもの。5月末に開催した会合で、最終的な検討を行い、文言修正などを進めている。

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