県都市整備課が進めている県立敷島公園(前橋市敷島町66)にある県立水泳場の建て替えについて、12月ごろに総合評価一般競争入札で公告することを明らかにした。PFI方式を採用し、事業範囲を既存施設の解体および新水泳場の設計・建設(既存施設の解体含む)・工事監理・運営および維持管理業務とした。月内には実施方針および要求水準書(案)を公表する。
現施設の老朽化、水深等の最新公認基準への不適合などから、新たな屋内水泳場を整備するもので、2029年9月に開催を予定する第83回国民スポーツ大会・第28回全国障害者スポーツ大会に間に合うよう計画を進めていく。
新水泳場整備事業は、事業者が設計・建設後に県へ所有権を移転し、運営維持管理を行うBTO方式を採用。事業範囲を既存施設の解体および新水泳場の設計・建設・工事監理・運営維持管理とした。なお、これまで新水泳場以外の既存施設について運営維持管理に含めるか検討を進めていたが、修繕費用の負担リスクが不透明となるため、運営維持管理の範囲は水泳場のみとすることを決定している。運営維持管理期間は15年となる。
スケジュール案によると月内に、民間事業者の募集や選定に関する事項、説明の明確化など事業の適正かつ確実な実施について定めた実施方針と、民間事業者に対して求める条件や内容を明記した要求水準書(案)の公表を行う。民間事業者からの質問や意見交換を行った上で、12月に特定事業の選定、入札公告を公表。入札説明書などに関する質問および意見交換の期間を設け、24年5月に入札提出書類(技術提案書)受け付け、6月に落札者の決定、10月の事業契約締結を経て28年10月まで解体撤去・設計・建設を進めることとなる。運営・維持管理期間は28年11月から44年3月までとした。
入札参加グループは複数者により構成。設計業務と工事監理業務にあたる者は、同一の者または資本関係もしくは人的関係のある者が兼ねることはできないとする。また、他の入札参加グループ構成員、協力企業としての参加は不可としている。グループにおける主な参加資格要件は、総合評点値について建築工事で1社が建築一式工事1200点以上、他の者を870点以上とした。また、電気設備工事は電気工事760点以上、機械設備工事は管工事760点以上と定めている。なお、建築工事は、類似業務の実績要件を必要としている。
新たな施設は、日本水泳連盟の公認競技プールとして整備。床および壁が稼働する50m×25mプールと、床が稼働式の飛び込み兼25m×25mプールおよび観客席約2500席を配置する。また、積極的な木材活用を打ち出しており、屋根架構に対してハイブリッド構造などによる木造化を図るとともに面積が国内最大級の大空間水泳場を目指す。さらに、県内の林業振興による地域活性化および脱炭素社会の実現にも寄与するとしている。加えて、敷島エリアの価値向上を目指すために策定を計画している「敷島エリアグランドデザイン」を適正に反映したものを基本方針としている。
既存の県立水泳場はRC造一部S造3階建て、延べ床面積5050・3㎡で1996年に建設された。内訳は、管理棟819・8㎡、観客席1595・8㎡、プール室2634・7㎡。屋内に50mプール、屋外には25mプールや飛び込みプールなどを配置している。新水泳場建設予定地は現水泳場の場所としている。
県は整備方針を決定するにあたり、県内企業と屋内50mプールのPFI事業実績を持つ県外企業に意向調査を実施。PFI手法による効果として、従来手法に比べて約6億円の費用削除が期待できるほか、整備に対する競争性の確保が見込まれる。また、受注事業者が民間から資金を借り入れることで一定程度県予算(一般財源)の平準化を図ることが可能となるとしている。
概算事業費は約209億円を試算。設計・建設などに151億円、維持管理運営費に15年間で58億円を見込んでいる。
県では新水泳場の整備に関してこれまで◇あり方検討業務委託=オリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区)◇PPP/PFI導入可能性調査業務=みずほリサーチ&テクノロジーズ(東京都千代田区)◇基本計画策定業務=昭和設計(大阪府大阪市)-にそれぞれ委託している。