「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(基本法)」の一部改正する法律案が14日の参議院本会議で可決した。改正により政府が国土強靱化実施中期計画を策定することが法律で位置付けられたほか、国土強靱化推進会議の設置も盛り込まれ、計画策定時に意見を聞くなどの体制も整える。今後は防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策の後継計画策定に取り組むことになる。
現在は、基本法に強靱化基本計画策定が定められている。しかし、3か年緊急対策および実施中の5か年加速化対策は閣議決定のみで実行している状態。激甚化、頻発化する自然災害に対して、国土強靱化事業で整備された社会資本により被害が軽減していると効果が表れているとの声もある。一方で、5か年加速化対策が終わると、これまでのように強靱化への事業が進まなくなるのではないかとの懸念の声も地方自治体などからも聞こえていた。
基本法改正における最大のポイントは、国土強靱化実施中期計画の策定にある。これは政府が策定する位置付けで①計画期間②計画期間内に実施すべき施策の内容・目標③施策の進捗状況、財政状況等を踏まえ、推進が特に必要とされる施策の内容・事業規模―について中期計画に定めることになる。
現在行われている通常の事業費へ5か年加速化対策費を加える現行の方式を踏襲することとして、通常分へ追加的に上乗せする事業規模を加えた形で国土強靱化を進めることになる。また、加速化対策は、閣議決定時に事業規模をおおむね15兆円程度(国費は7兆円台半ば)とする目安があるが、これまでの3年で7割近い約9・6兆円(国費約5兆円)が予算化されており、残る2カ年で5兆円程度となる。災害に関しては最近でも能登、千葉と地震が頻発し、しっかり対応していく必要がある。
また、国土強靱化推進本部に、国土強靱化推進会議を設置する。本部が基本計画案や実施中期計画案を策定する際に意見を聞くこととした。推進会議の委員は20人以内で内閣総理大臣が任命。任期は2年とした。
佐藤信秋参議院議員(自民党)は今回の法改正について、緊急対策も加速化対策も法律で定められた計画ではなかったため「国民からは5か年加速化対策がなくなると、強靱化が進まなくなるのではないかといった懸念の声が大きかった」と話す。激甚化、頻発化する自然災害に備えるため「国会はしっかりと対応する必要がある」と災害に対して最大限の準備を行うことを語る。予算についてもこれまでは補正予算での対応となっているが、当初予算での対応も求めていく考えを示している。
【強靱化基本法について語る佐藤参議院議員】
















