2023年度の建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会(会長・蟹澤宏剛芝浦工業大建築学部教授)が15日に開催され、国土交通省によるCCUSレベル別年収の試算が明らかになった。希望、給与、休暇という新3Kを踏まえたもので建設技能者の処遇改善に大きく寄与するものと期待されている。また、能力評価の加速化へ23年度を「CCUS能力評価躍進の年」となるよう官民一体で取り組みを強化する。
レベル別年収は、能力評価に応じた賃金実態を踏まえ、公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられる年収を試算したもの。技能者の経験に応じた処遇や、若い世代がキャリアパスの見通しを持てる産業を目指す。別途、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会で、適切な労務費の確保等に関する制度改正についても検討が進められる。
レベル別年収はCCUSの能力評価分野で設計労務単価に対応している電気工事、橋梁、内装仕上げ工事、土工など32分野が対象。レベル1~レベル4の4段階の区分に対し、それぞれ「上位」「中位」「下位」に分けて示した。「上位」の値は労務費調査の各レベルの標本で上位15%程度の位置。「中位」は中位程度、「下位」は上位85%程度の全国の年収相当として試算されている。
なお、全国全分野の平均で各レベルの中位をみるとレベル1は501万円、レベル2が569万円、レベル3で628万円、レベル4になると707万円となっている。
今回の平均年収試算を示すことで処遇面でのキャリアパスという「希望」、技能・経験に応じた賃金支払いという「給与」、試算自体が週休2日を確保した労働日数で算出している「休暇」の新3Kに対応したものでもある。
能力評価躍進の年として取り組む加速化は、就業履歴を蓄積できる環境の整備として年内に開始する電話対応、24年度早期を目指すiPhoneの利用などカードリーダーに頼らないシステムを導入。能力評価基準が策定されていない分野での作成など支援、団体の能力評価実施体制整備などへの支援。さらに、技能者登録と同時に能力評価に応じたカード発行を可能とするワンストップ申請を24年4月目途にスタートする。
なお、CCUSの運営主体・建設業振興基金と能力評価の実施について円滑な連携が図れるよう推進体制も整える。
開会にあたり国土交通省の長橋和久不動産・建設経済局長がレベル別年収について「業界全体でこれから技能経験に基づいた賃金支払いで一つの具体的なイメージを共有しながら今後の賃上げ、適正価格の発注などが促進されると期待している」とあいさつした。