国土交通省は47都道府県、20政令指定都市に対して工事における電子契約の導入状況を調査した。紙による申請併用を含め導入しているのは11団体にとどまった。検討中は48団体にのぼっていることから今後は拡大の方向性も見えてきている。
電子契約を導入しているのは都道府県7、政令市4団体。その導入効果は発注者の場合、契約書の製本や郵送、押印等が必要なくなることで担当者の事務負担が減少し、契約締結までの時間やコストを削減できる。受注者にとっても印紙税、製本費用、郵送運搬費用、保管費用の節減と、契約書作成期間の短縮が図られる。デメリットは▽電子署名をした日が契約日となるが、契約書の事前チェックなど短時間での事務処理が難しい▽契約担当職員の業務増▽従来の業務フローを変更するための庁内調整・周知に時間を要する―といったもの。
検討中と回答したのは都道府県34、政令市14団体の合計48団体。うち時期未定としたのは30団体、2025年までが18団体だった
導入にあたっての課題は▽支出の審査や監査部門の確認で、契約書を印刷する必要が生じる▽例規・要綱・要領等の整備▽関係機関、建設業界等への周知・理解促進▽予定していた契約日中に全ての契約当事者の電子署名が完了しなかった場合の対応―などの声があった。
未検討は都道府県5、政令市3団体。その理由は、他県または県契約全体の動向を注視している、費用対効果等でメリットが感じられない、現状の紙申請で特段の支障等がないなど。