川上から事業展開
木質化技術を中低層に
「川上から地続きの事業展開につながる提案能力をさらに強めたい」
総合建築業の近藤建設を中心に、近藤不動産、近藤リフレサービス(マンション・ビル管理、リフォーム)、コミニス(ITシステムの設計・開発)の各社で構成する近藤グループは、民間建築の設計・施工~維持管理まで一貫して担える体制。東武東上線沿線の民間建築を最も得意としつつ、川越方面の西武線沿線、さいたま市内などの実績が豊富だ。
本社周辺をみると、三芳スマートインターチェンジのフル化、国道254号和光富士見バイパスなどの交通網整備が進み、人・ものの流れはより活発になる。「こうしたエリアでは人口減少の影響がまだ少ない。地元の企業・金融機関らとの交流を深めるなどして、プロジェクト上流から商機をつかみたい」
今期(10月決算)の業績は、完工高では前年並を予想する。ビルなど事業系建築物と住宅系の売り上げの比率は6対4程度。事業系の受注は「中長期の視点で手掛ける計画が継続的に実り、大きな業績のぶれはみられない」。一方、注文・分譲住宅は「昨秋から顕在化した物価高や円安進行が消費者心理を冷やし、動きが鈍い」。
ただ、厳しい環境だからこそ「変化や挑戦の機会でもある」と社内を鼓舞。仕掛けの一つが、注文・分譲住宅で培ったCLT(直交集成板)工法など木質化の技術を中低層の事業系建築物にも生かすこと。
SDGsや脱炭素の観点から、病院関係、保育園・幼稚園、高齢者・障害者福祉施設でも木造建築に対する関心は高まる。直近では、CLT工法で6棟目となるリハビリ病棟の施工を請け負った。「別の事務所ビルも話が進行中。一般的にS・RC造に比べ、木造は少し安いという認識がある。価格が乖離(かいり)しないよう、木造が適しているとみれば適切に提案する」
デジタル化の一環で、8月から協力会社との請求書等のやり取りをコミニスが開発したアプリにより行うという。来期に向けBIMの実用化も見据えている。