県議会(清水武則議長)は31日、(社)県建設業協会(石井由己雄会長)に「多発する粗雑工事に対する申し入れ」を行い、再発防止への一層の取り組みを求めた。権限外の県議会が業界団体への指導や助言を行うことはきわめて異例。この問題に対し同協会では既に県内8支部の全体会議で再発防止を確認したほか、2月7日の常任理事会でも法令の遵守、教育、指導をさらに徹底するよう協議する。
同申し入れには、県議会側から清水県会議長を始め、金丸直道副議長、渡辺正志土木森林環境委員会長、県側から保阪茂久土木部長など。また、建設業協会側からは石井会長、大森剛仁副会長、筒井勝久副会長、萩田哲雄専務がそれぞれ出席。議長らから、なぜ、こう何件も粗雑工事が続くのか、粗雑工事を無くすための対応策は、議会では処分が甘すぎるという意見が主流だ、などの質問が相次ぎ、石井会長も「あってはならない」この問題へ真剣に取り組む意向を示した。また、議会側からは、公共事業を円滑に進めるためには、業界、県、県議会の3者が一体となって取り組むべきとの意見も出た。
県議会の申し入れ書は、「昨年12月に発覚した一般国道411号上萩原2期バイパスの粗雑工事に引き続き、本年1月には、あけぼの医療福祉センターでも粗雑工事が発覚するなど、この5年間で10件もの粗雑工事が発生したことは、誠に由々しき問題。これらの相次ぐ粗雑工事により、建設業界に対する県民の信頼は著しく損なわれ、さらには公共事業の円滑な推進を停滞させることが懸念されるなど、県民生活への少なからぬ影響を危惧する。県議会では、去る1月16日に開催した土木森林環境委員会の現地調査と26日に開いた決算特別委員会と総務委員会の合同現地調査において、執行部の対応をただすとともに、建設業者に対して強力に指導・監督を行うよう求めたところである。県建設業協会においても、再びこのような事態が生じないよう、会員業者に対し、法令の遵守、教育、指導の徹底を図り、再発防止に一層真剣に取り組み、県民への信頼回復に努められたい」とするもの。
申し入れ後の会見で石井会長は、「今回の事態に対し粗雑工事を行った会員企業への聴取を行い、事実関係を確認した上で的確な対応をしていく」との考えを示した。