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国土交通省

【法定福利費】民間、市区町村が低く/請負代金内訳書への明示

2023/07/10 本社配信


 国土交通省は建設業許可業者から無作為抽出した3万者を対象とする社会保険加入と賃金の状況等に関する調査を実施した。結果から法定福利費を内訳明示した見積書の提出、法定福利費の受け取り状況は、公共・民間発注とも下請次数が増えるたび数字が悪くなっている。また、請負代金内訳書での法定福利費明示は、公共6割、民間4割で行われており、公共に絞ってみると市区町村は半数程度しか行っていない状況が分かった。調査は昨年11~12月に行われたもの。

 下請企業における法定福利費を内訳明示した見積書の提出状況を、直近の一現場(公共・民間)で調査した。

 公共工事における一次下請で、法定福利費を内訳明示した見積書を提出した工事は、72・8%で前年度調査と同数だった。二次下請は63・4%で前年度より約3ポイント減、三次下請以降は5割を割り込む47・2%で前年度比約11ポイント減となった。

 民間発注工事では、一次下請が54・8%で前年度より改善。二次下請は49・4%で前年度より4ポイント下がったが、一次・二次とも約5割となった。三次下請以降では35・6%で前年度から10ポイント以上下がり、4割を下回る結果となった。

 下請企業における法定福利費の受取状況は、直近の一現場(公共・民間)において、法定福利費の受取状況を調査した。

 公共工事では、法定福利費を100%以上受け取れた工事の割合は、一次で72・3%、二次67・3%、三次下請以降では47・1%にとどまっているが、一次・二次・三次下請以降のいずれも上昇傾向となった。

 民間発注工事では、法定福利費を100%以上受け取れた工事の割合は、一次で66・7%、二次で59・2%、三次以降は37・8%にとどまっている。前年度比で一次は約5ポイント上昇したが、二次は約1ポイント、三次以降が約11ポイント下がっている状況。

 請負代金内訳書への法定福利費明示(元請工事)について、公共工事は68・0%、民間工事40・8%。ともに前年調査よりも改善している。公共工事に絞ってみると国発注分は85・3%、都道府県発注で75・0%と高い割合となっているが、市区町村は52・5%と低い結果となった。

 結果から、法定福利費が下請企業にまで十分行き渡るために、請負代金内訳書に法定福利費を明示し、発注者と元請事業主の契約においても法定福利費を確保する必要がある。公共・民間に関わらず、発注者は法定福利費等を含んだ適正な価格で発注をするよう徹底する。

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