国土地理院は標石基準点(三角点)について、今後の維持管理方針を策定する。電子基準点の利用などで、全国11万点を超える三角点全てに測量の基盤として精密な位置を維持する意義は薄れている。このため、絶対精度は一部にのみ求めるとともに、近く変動時のパラメータ作成機能を維持。ランドマークとしての三角点は機能を維持するなどの基本的な考えを示した。
三角点の現状は、電子基準点を用いたGNSS測量が主体になったため、公共測量で使う機会は減少。三角点を使わなくてもほとんどの測量が成立しているという。また、地籍調査でも、電子基準点を用いて測量を推奨している。だが、複雑な地殻変動を伴う地震が発生した場合は、周囲の三角点間での相対位置変化を求めることが必要になる。地震前に測量して精度を維持しておく必要はないが、地震後に再測量できるように標石基準点を物理的に維持する必要がある。
維持管理の基本方針として、一部の三角点を除き、測量用の絶対精度の維持管理は行わない。地籍測量では、相対位置基準として活用されることから絶対精度は必要ないが、地震などで大きく変動した際のパラメータ作成があるため、大きな空白が生じないよう配慮が必要。山頂などのランドマークとしての三角点は、土地に紐づいた目印として歴史的・文化的に役割があるため、撤去せず、標識としての機能を維持する。
また、撤去・廃点時の処理方法を明確化する。地権者から要望がある場合には、地権者自身による撤去を許可する仕組みを設ける考え。
年度末までに国土地理院内で具体の進め方を検討する。果たすべき機能の課題整理、申請に基づく撤去に関する方針等、変動時のパラメータ作成に必要な三角点の基準等を検討し、測量行政懇談会へ報告する。
また、測量関係団体、地籍整備関連団体等へ事前周知。24年度には、外部への周知として再整理した三角点の役割への理解を促進するとともに、電子基準点を用いた測量のさらなる促進を図る。同年度以降に電子基準点を用いた測量を原則とする準則の改正等を予定している。