帝国データバンクは2023年上半期の人手不足倒産状況をまとめた。ポストコロナに向けた社会経済活動の活発化などもある中、建設業や運輸業などコロナ禍前より人材不足に悩む業種で、賃上げに踏み切れない、人材確保が困難な状況にある中小企業を中心に、「人手不足倒産」は高水準で推移していく可能性があるとしている。
上半期の人手不足倒産を業種別にみると、建設業が45件で最も多く、全体の約4割を占めている。前年同期が15件だったことから3倍に達しており、急増ぶりが顕著だった。
現場の職人のほか、施工管理など有資格者の不足や退職により事業の継続が困難となったケースが目立ったという。
建設業に並び大幅増となったのは運輸・通信業で20件。前年同期から2・2倍と増加した。従来から続く慢性的なドライバー不足に加え、建設業同様の課題となっている2024年問題、ドライバーの高齢化も課題となっており「人手不足リスク」がさらに高まる可能性があるとみている。
従業員の離職や採用難等により人手を確保できず、業績が悪化したことを要因に倒産する人手不足倒産は、上半期全体で累計110件発生した。前年同期から約1・8倍に急増。13年の集計開始以降、年半期ベースで初めて100件を超え、過去最多件数を更新している。ポストコロナに向けて経済活動が本格化するなかで、人手不足倒産は増加基調がみられる。現状の発生ペースで推移すると、23年通年でも過去最多だった19年の192件を更新すると予想されている。