国土交通省は、次年度の公共工事設計労務単価を決めるため毎年10月に行う公共事業労務費調査について、関係建設業団体へ周知・協力を通知した。本年度からオンライン調査の本格運用を開始する。また、新たな調査項目に▽男性育児休養の取得状況▽インフレ手当―に関して、を追加する。なお、棄却率の改善や賃金水準の正確な把握の徹底に関しての要請も行っている。
労務費調査は、全国の国土交通、農林水産省などの公共工事から10月に施工中の1件当たり1000万円以上の工事を対象に約1万工事を調査対象として無作為抽出(技能労働者数約11万人)して実施。対象工事に従事する技能労働者の賃金を積算で使用する51職種に分類し、都道府県別に把握する。10月分の賃金が対象だが、標本が少ない38職種は9月分の賃金支払い実態も調べる。
調査方法については、22年度調査の試行結果を踏まえ、調査票などの提出・管理・審査をシステム上で行うオンライン調査の本格運用を開始する。ただし、書面調査と双方の対応を可能とし、22年度同様に一部で対面調査も残す形式とした。
調査の追加項目となる男性の育休は、21年6月に育児・介護休業法が改正され22年4月1日から段階的に施行。男女ともに仕事と育児の両立支援が推進されていることがポイント。今回の調査から、男性の育児休暇の取得状況の実態を把握する。
もう一つのインフレ手当に関しては、昨今の急激な物価上昇を背景に、従業員の生活支援を目的に支給される事例が増えていることを踏まえてのもの。支給実態を把握する。
調査で無効標本の存在が問題になっている。せっかく回答しても「就業規則に定める所定労働時間が法定の週40時間以内であることが確認できない」「調査票への記入の根拠となる資料がない」などの理由で棄却されてしまっている。そこで、元請、下請企業には、確認できる資料などを提示できるよう依頼している。
また、現場で働く技能労働者全てが調査対象となるため、一人親方も調査票を作成することや、賃金台帳に記載されていない退職金等、不定期の賃金も遺漏なきよう正確な記入を求めている。