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栃木県小山市

小山市、弓道場を移転新築、小山総合公園内に 24年度に基本・実施設計、26年度に現弓道場を解体

2023/07/18 栃木建設新聞

 小山市は、移転新築する市弓道場整備基本計画案をまとめた。移転先は小山総合公園内の県立県南体育館南側市有地約9390平方m(外城)。屋内近的競技会場約800平方m、観覧席約40平方m、屋外遠的練習場約700m、駐車場・通路で構成。2023年度は補助金申請へ向けた調査、24年度は基本・実施設計、25年度に新築工事、26年度は新弓道場の供用開始後に現弓道場を解体撤去する。総工費は約2億円を見込み、国の社会資本整備総合交付金(補助率2分の1)の導入を想定している。

 市弓道場は1965年の開設以来、築60年近くが経過。市役所西側駐車場に立地し、2021年の新庁舎の供用開始で分散した庁舎機能の集約が完結。来場者で慢性的に駐車台数が不足し、車両の往来が激しく競技に神経を集中できる静かな環境とは言い難い。

 弓道は性別や年齢を問わず、幅広い世代が楽しむことができる生涯スポーツの一つ。現弓道場は19年度に約7000人の利用があり、コロナ渦中は外出自粛や施設使用の制限で利用者が減少。22年度は約5000人が利用し、愛好者利用が回復傾向。

 移転新築計画地は小山総合公園内に位置し、市公園緑地課が所管。土地の使用に関する手続きや制約が少なく、早急に対応が可能。用地取得の必要性がなく、山林に囲まれた閑静な場所。住宅地からは一定の距離と高低差があり、騒音振動の問題が生じにくい。

 周辺道路は整備済みで、現況は約345台が収容できる駐車場。大会時は自家用車や大型バスの乗り入れができ、的場の周囲は人の往来が少ない。駅からのアクセスは温水プール館前が最寄りのバス停。熱心に活動する白¥外字(9061)大や小山城南中からの距離は4㎞以内。

 近的は的場までが28m、射場は6人立ちで射手相互の間隔は1・8m。ほか玄関、選手控室、通路、役員控室、会議室、審判席、倉庫、更衣室、トイレ、矢道、矢取り道、的場、看的所。バリアフリー新法や建築物省エネ法を満たす。概算面積は19m×42m。

 更衣室にはシャワー、トイレ、洗面所の付属が望ましい。照明設備はJIS基準を参考にする。給水施設は安土の砂渇き防止や矢道芝生管理に散水栓を配し、射場の近くには手足洗い場を設置。排水施設は建物屋根からの雨水処理、散水栓の排水溝が必要。

 観覧席の概算面積は2m×20m。遠的は的場までが60m、概算面積は10m×70m。現状は砂利敷きの臨時駐車場。駐車場の舗装や通路の整備は別途、公園再整備事業の中で検討する。これらを積み上げた概算の延べ床面積は約1540m。

 県内の遠的場は宇都宮市西川田4丁目の県総合運動公園北・中央エリアに立地する「ユウケイ武道館弓道場」のみ。射場は6人立ちで矢道は天然芝。国体開催に先立つ19年に建設した。新弓道場移転先に遠的弓道練習場の併設を求める声が寄せられている。

 社会資本整備総合交付金の要件を満たさない場合、スポーツ振興くじ助成金(toto)、学校施設環境改善交付金の活用を探る。ほか小山総合公園再整備事業の方向性によってはPPP/PFI/Park-PFIの官民連携手法の導入も視野に入れる。

 現弓道場は万が一施設外に矢が飛び出した場合の安全性が懸念され、市公共施設マネジメント推進計画では「移転解体」の方向性が示されている。06年には市立体育館建設に併せて弓道場の移転を検討。最終的には市立体育館の単独整備を優先した経緯がある。

 市唯一の弓道場だけに、移転新築中は練習できない期間が長期化する。新庁舎と駐車場整備に伴う現弓道場解体撤去方針を聞き及んだ市弓道会は19年、経年劣化した現弓道場を維持しつつ新弓道場の整備を求める趣旨の要望書を提出している。

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