「二段階(多段階)選抜方式」と「二封筒方式」について、国土交通省が現時点における適用の可能性をまとめていることが、3日までに分かった。二段階方式については、公募型指名競争と指名競争では適用の可能性ありとしたものの、一般競争の場合は「適用困難」としている。二封筒方式は、一般競争と工事希望型競争で、適用可能性ありと認識。同省では今後も、導入の可能性を模索する方針だ。
「二段階(多段階)選抜方式」と「二封筒方式」は、総合評価方式の中でも、より技術力を重視した入札契約方式として、注目を集めている。とりわけ二段階の方は、業界団体幹部からも導入の要望が強く、中央建設業審議会ワーキンググループにおいても、早急に検討するべき課題の一つとして位置づけられている。
国土交通省がまとめた現時点における適用可能性は、別表のとおり。二段階は一般競争での適用は困難としており、公募型指名競争・指名競争なら「可能性あり」とみている。工事希望型競争の場合については、引き続き検討が必要と判断した。
二封筒に関しては、一般競争と工事希望型競争において、導入可能性を見出している。
二段階選抜は、簡易な技術提案により入札参加者を3社程度に絞り込み、その後、詳細な技術提案の提出を求めるもの。技術提案をするのにもコストと労力がかかるという観点から、「最後の勝負の時に本気の技術提案を出したい」(業界団体幹部)という声がある。
国土交通省では、「あらかじめ競争参加資格を公告する必要がある」(予決令第75条)、「競争参加資格を満たした者はすべて競争に参加できる」(同73条)などの規定により、一般競争入札での適用は困難と認識した。
公募型指名では、提出を求める技術資料や指名業者数を見直すことにより対応可能と考えているものの、談合防止の観点から大半が一般競争になりつつある現況では、導入は厳しいと言えよう。
同省では検討を続けているものの、「どういう項目で最初の絞り込みを行えば良いのか、明確なものが見えてこない」(技術調査課)という悩みもある。
一方の二封筒は、入札参加者が技術提案と価格を別々の封筒に入れて提出するもの。まずは技術提案の審査・評価を行い、一定の基準を満たした優秀な技術提案者のみ、価格の封筒を開ける方式。
政府調達協定対象(WTO案件)では、「入札参加のいかなる条件も契約の履行能力を確保する上で必要不可欠なものに限定される」としており、協定対象工事では最低限の要求要件を満たさない場合のみに欠格とすることが可能とみている。
協定対象以外の工事においては、欠格とする技術提案レベルの基準を高めに設定し、あらかじめ公告すれば、その基準に基づき優秀な提案を選別することが可能と考えている。
なお、技術提案の最優秀者と価格の交渉を行って合意する交渉方式については、現行の法制度上、随意契約の適用が限定されており、整合性の観点から検討が必要と認識している。