柏市は、柏病院建設基本・実施設計業務委託の公募型プロポーザルを行い、優先交渉権者に梓設計、次点者に石本建築事務所東京オフィスを選定したと28日に発表した。梓設計は「緑豊かな環境と調和し、地域医療と共に発展し続ける『グリーン・ホスピタル』の実現」を掲げ、病院へのアクセス性の向上、独立した救急車両動線と専用ロータリー、介護老人保健施設はみんぐとの連携強化など、病院の基軸(ホスピタルスパイン)を継承した。建物はRC造およびS造とし、全体を一体化する基礎免震構造を採用。建て替えは周辺環境への影響、先行工事の最小化、過渡期運営への影響の抑制を目的に、敷地の中央に主要な施設を配置し、2期に分けて整備する計画。
主な施設は、7階建ての病棟、3階建ての外来棟、3階建てのはみんぐA棟、はみんぐB棟。病棟および外来棟は、一体性を持たせた1棟構成とする。病棟・外来棟の主な構成は、1階が救急・外来・放射線、2階が検体検査やリハビリ、3階が手術室・HCU・管理部門、4階から6階が一般病棟。
施設計画のコンセプトとして▽ゾーンと動線分離による機能連携▽医療安全と効率化を実現する機能連携▽コミュニケーションを活性化する連携――を設定。
建て替えは、北側にはみんぐB棟を移転した後、病棟と院内保育室を建設する。その後、既存病棟およびサービス棟を解体し、外来棟を建設。新病棟の供用開始後、外来管理治療棟などの解体および外構工事を実施する。
地域に親しまれ共に発展する「ロングライフ・ホスピタル」の実現に向け、▽病棟運営の柔軟な対応▽医事業継続計画に沿った施設計画▽複数のオープンスペースを災害活動に活用▽ライフラインの多重化――などを提案した。
最新の標準治療を/石本建築事務所案
石本建築事務所東京オフィスは「最新の標準治療を確実に行える病院」として地域の期待に応える医療環境の整備を掲げ、▽隣接する最終処分場跡地に整備する新設公園との一体的な整備▽災害時を考慮した駐車場・ロータリー▽感染症対策の視点▽将来を考慮した配置――などを提案に盛り込んだ。
新病院は6階建てを想定。1階から3階までを救急・外来・手術関連などとし、4階から6階までを一般病棟として使用する。
整備計画は、2024から25年度にかけて、はみんぐB棟の解体に向けた看護師宿舎の解体および仮設棟の建設、新エネルギー棟や冷凍機械室内機器の設置など準備工事を行う。その後、25~28年度に新病院を建設し、28年度中の開院を想定。開院後に既存施設の解体や駐車場・外構の整備に着手する。
柏病院は、布施1―3に所在。敷地面積は約4ha。指定管理者は柏市医療公社。病院などを運営しつつ建て替えを行うため、施工業者の知見を生かした設計が必要となることから、アーリー・コントラクター・インボルブメント(ECI)方式を採用する。
2月に公表した基本計画で、概算事業費は181億2000万円とした。
今後は、24年度までに基本・実施設計をまとめ、24年度に技術協力者を選定する。24~25年度に事前移設など、また25~28年度に建設工事を行い、28年度の開院を見込む。28年度以降に既存施設の解体・外構工事を実施する方針。