厚生労働省は、全国的に人口の減少・水道施設の老朽化が進行している中、適切な資産管理(アセットマネジメント)、広域連携の推進、官民連携の推進という3つの柱による水道事業の基盤強化に取り組んでいる。個別委託、包括委託、第3者委託、DB、DBO、PFI、コンセッションなどによる官民連携の推進が有効な手段としている。その一方で、人材不足は民間でも同様であり、発注者側は、民間に参入しやすい工夫が必要としている。
水道事業は全国に約3800に事業があり、小規模で職員数が少ない事業者が非常に多い状態。また、関係職員数も1980年度ごろの7万人を越えていたピーク時に比べ36%程度減少している。2020年度には5万人を割り込んでいる。
近年、人口減少や施設の老朽化の増大が顕著となり、ヒト・モノ・カネが不足。各水道事業の基盤強化を図ることが急務となった。18年の改正水道法には基盤強化を図るため3つの柱が示された。アセットマネジメントは、収支の見通しの作成と公表を通じ、水道施設の計画的な更新や耐震化等を進める。広域連携により、人材の確保や経営面でのスケールメリットを活かした市町村の区域を越えた連携を推進する。官民連携は、民間事業者の技術力や経営に関する知識を活用できるとした。
官民連携のメリットは、官側にとって人材不足を補う、民のノウハウにおるコスト低減がある。民側は技術力による社会貢献。一方、デメリットとして官側は、技術伝承が途絶える、住民や議会への説明が必要、将来業務の継続性への不安があがる。民側は、限られた予算額、人材量への不安がある。そこで、広域連携と組み合わせた発注や、単体契約から包括契約にするといった、官が業務を発注する際には民に入って行きやすい工夫が必要とされる。