国土交通省は、新技術を活用した物流の今後の検討における論点などを示した。海外での事例、国内での検討状況から▽活用空間▽地域・区間▽輸送モード▽事業スキーム―という4つの論点を示し、道路空間の利活用の可能性への課題などをあげている。
活用空間は、地上の既存道路空間の活用として中央帯や路肩など。一方で、地下に新たな空間を整備。課題については、非常駐車帯など安全機能の確保や、トンネル・橋梁といった構造物との干渉。さらに、コスト面、IC等との接続方法をあげた。
地域・区間では、都市間長距離幹線、物流拠点間、都市内の3つのモードを示し、課題として物流需要や他モードとの役割分担をあげる。
輸送モードは、トラック、パレット、専用コンテナを形態として示し、積み替えや既存交通との接続方法を課題にあげた。
事業スキームは民間、公共で、費用負担が課題となる。
海外事例としてスイスでは、物流専用道で主要都市を結ぶ地下トンネルを建設し、自動運転カートを走行させる物流システムの構築を計画。総延長500㎞で2045年までに全線開通予定、総工費約5兆円。
イギリスはMagway(マグウェイ)システムによる地区内物流の効率化を図るプロジェクトが計画されている。既存鉄道敷地内に全長16㎞の専用線を敷設。西ロンドン地区の大型物流ハブ施設から各社の物流施設までの輸送を担う計画。28~30年の運用開始目標。
国内では、07~09年度に首都圏大深度物流トンネル構想の検討があった。中央防波堤から青梅IC北側を結ぶ約53・5㎞の大深度地下トンネルの建設。整備費約2600億円の試算となっている。
また、道路空間を活用した物流の例で、東京外環事業トンネル工事の土砂搬出のため、高速道路の路肩・中央帯空間を活用してベルトコンベアを設置。約6㎞離れた仮置き場まで運搬している。10tダンプ50万台分の運搬を予定している。