県企業局電気課は、板室(那須塩原市)、川治第二、川治第一、足尾(日光市)の4発電所の改修計画をまとめた。年数が経過した老朽施設を更新するもので、板室発電所は2024年度から整備に着手する。事業期間は板室が24~26年度、川治第二を26~28年度、川治第一が33~35年度、足尾は41~43年度を予定。整備は3カ年初年度の解析・設計を踏まえ機器製造に着手。2年目は製作期間で最終年度の3年目に現地改修工事を実施する。
供用から50年以上が経過し、10年に一度のオーバーホールの必要な発電所4カ所を抽出。県営発電所効率化検討業務を21~22年度でまとめ改修計画を立案した。業務は日本工営が担当した。4発電所の整備はオーバーホールの時期に位置付けた。
改修内容は板室が水車高効率化更新、発電機熱対策、油削減改修など。最新の水車に更新するほか、発電機稼働に伴う熱の発生を抑制する改修を実施。油の使用量を削減する設備に更新し河川や貯水池への流出防止工事を行う。
水車の選定に当たっては、流体解析を行い設計に反映。水流に適し水量の増減にも安定して発電可能な水車を製造する。
川治第二は水車の高効率化更新、制御盤更新、油削減改修など。川治第一と足尾は水車の高効率化更新と油削減改修などを予定している。
板室発電所は農水省直轄那須野原開拓建設事業で、那珂川上流部に築造した深山ダムの貯水と落差を利用して発電。矢沢川とダム貯水池から最大毎秒9立方mを取水。導水路とサージタンク・水圧鉄管を経由し発電所のある板室ダムまで導水。1台の水車発電機で最大1万6100㎞㍗を発電する県営発電所で最も出力数が高い。
発電開始は1973年5月31日。発電形式はダム水路式。1年間の可能発電電力量は5920万2000㎞㍗h。有効落差214・3m。
川治第一は56年5月25日に運転を開始した最初の県営発電所。五十里ダムから取水するダム水路式発電。使用水量は毎秒16・6立方mで最大出力が1万5300㎞㍗。
川治第二は川治第一で使用した水を小網ダムに貯めて発電。58年6月27日に運転を開始した。発電方式はダム水路式で使用水量が毎秒12・52立方m。最大出力が2600㎞㍗。
足尾は73年銅山閉山後の地域振興策の一環で85年10月18日に運転を開始。渡良瀬川・神子内川・餅ヶ瀬川などに取水堰を設置。庚申川に整備した庚申ダムまで取水路を整備し水を貯め発電するダム水路式。使用水量は毎秒12・5立方mで最大出力が1万㎞㍗。