下野市教育委員会は、南河内第2中学校区給食共同調理場の建設地を薬師寺保育園跡地(薬師寺2362-5)に決定した。3候補地の中から①都市計画上の支障がない②敷地に余裕があり、施設配置の自由度が高い③学校運営に影響がない④更地で短工期-という優位性が決め手となった。2024年度に基本設計を委託し、25年度に着工する。概算で設計委託料1809万5000円、総工費6億7260万円。建物はS造平屋建て延べ800平方mで計画。工期は8・5カ月を見込んでいる。
建設候補地は当初予定の祇園小敷地内、2月に更地で返還された薬師寺保育園跡地、未利用地の旧南河内町立西保育所跡地。祇園小敷地内は親子方式、他の2候補地はセンター方式。整備する際のメリットとデメリットを比較検討の結果、適地を絞り込んだ。
給食調理能力は日量1000食。受配校は祇園小(370食)、緑小(270食)、南河内第2中(350食)。3校とも現在は自校方式調理場。いずれも建物や設備が老朽化し、学校給食衛生管理基準で定める要件に不適合。児童生徒数増減への柔軟な対応が難しい。
薬師寺保育園跡地から供給先までの距離と車両配送所用時間は祇園小1・3㎞(4分)、南河内第2中2㎞(5分)、緑小2・7㎞(6分)と極めて近接。施工期間中は3校の自校方式調理が継続でき、工事用車両の錯綜、騒音や振動の心配がない。
敷地は3753・01平方m。地目は宅地で用途地域は市街化調整区域。周囲には農地が広がる。敷地東側は主要地方道宇都宮結城線に接し、敷地と道路の高低差はほぼない。食材搬入や給食搬出には十分なスペースを割け、将来的な発展性が見込まれる。
施設は給食室665平方m、会議室135平方m。工事費内訳は建築が6億4000万円、外構が2900万円、受配3校の搬出搬入口改修が360万円と試算。23年度は市教育委員会と市総合教育会議での審議、保護者説明会を予定している。
当初は祇園小給食室を増改築し、子学校の緑小と南河内第2中に配送する親子方式で事業化。給食調理場は建築基準法で工場扱いとなり、周辺の用途地域は第1種住居地域だけに許認可取得が課題だった。20年度は改修基本設計をAIS総合設計に委託した。
現行の調理場面積と築年数は祇園小173平方m(35年)、緑小209平方m(28年)、南河内第2中187平方m(29年)。汚染作業区域と非汚染作業区域が部屋単位で区分されておらず、完全に分離したアレルギー対応調理ラインの整備が待たれている。
市教委は18年7月、南河内第2中学校区学校給食の運営方式を給食検討委に諮問。検討委は5回の協議を重ね、19年1月に敷地西側に余裕のあった祇園小調理室の増改築案を答申した経緯がある。緑小と南河内第2中の2校は増築敷地不足で断念した。
市は18年、薬師寺保育園の民営化移管先法人を「社会福祉法人内木会」に決定。旧園舎は無償譲渡、土地は一定期間無償貸与。新園舎新築移転後は更地後に返還する契約を締結。内木会は「認定みらいこども園」に改称し、22年に緑2丁目に移転開園した。