記事

事業者
国土交通省千葉国道事務所

新湾岸道事業化へ/災害時の復旧支援も全力/藤井和久千葉国道事務所長 就任インタビュー

2023/09/11 日刊建設タイムズ

 7月4日付の人事異動で千葉国道事務所長に就任した藤井和久氏は、地域の安心・安全への取り組みを最優先とし、「常日頃から緊張感を持ち、災害時の迅速な復旧支援に全力を注ぐ」と意気込んだ。また、慢性的な交通渋滞に対し、「新湾岸道路と千葉北西連絡道路について、県や沿線自治体と連携し、計画の早期具体化を目指していく」と話した。


 ――事務所長としての抱負・展望は。


 藤井 自然災害から生命と財産を守るためには、インフラの整備が必要不可欠。災害時の迅速な復旧支援など、安心と安全への取り組みを最優先とし、常日頃から緊張感を持って職務に携わりたい。


 ――千葉県の印象は。


 藤井 埼玉県春日部市出身で、子どもの頃、鴨川シーワールドなどのレジャー施設を訪れていた。県全体としては、観光のポテンシャルが高いだけではなく、工業、農業・畜産、漁業などの産業バランスが取れ、首都圏の暮らしと経済を支える重要な地域と認識している。一方で、交通渋滞は深刻であり、早期の対策が必要だ。


 ――慢性的な交通渋滞への対応は。


 藤井 国道357号や国道16号などの主要な道路は、物流の効率化や大規模集客施設へのアクセス性の向上など、産業・生活において必要不可欠な幹線道路だが、慢性的な交通渋滞が課題。交通渋滞対策となる新湾岸道路と千葉北西連絡道路の早期具体化に向けて、検討を進めている。千葉北西連絡道路については、2023年度から概略ルートや構造の検討に着手した。


 ――首都圏中央連絡自動車道(圏央道)未整備区間の進捗は。


 藤井 圏央道の大栄ジャンクションから松尾横芝インターチェンジまでの区間の整備に遅れが生じているため、県や東日本高速道路との連携を密にし、地域の皆さまの期待に応えられるよう、一日も早い開通を目指し、最優先で進めていく。


 ――県南部の高規格道路の整備については。


 藤井 圏央道の整備による効果を県南部へ波及することで、鴨川・大原道路や館山・鴨川道路など調査中区間における高規格道路の重要性がさらに高まると考えている。


湾口道機運高まる/必要性発信が重要


 ――東京湾口道路の具体化については。


 藤井 房総地域東京湾口道路建設促進協議会の第1回総会が開催されるなど、整備への機運が高まっている。人々の暮らしや経済を支えるインフラ整備は、予算との兼ね合いもあるため、優先順位付けが必要となる。大規模プロジェクトを実現するためには、地域の経済界や住民の皆さまの熱意が大事。地域関係者の皆さまが道路整備の必要性をしっかりと議論していただき、期成同盟会などを通じて、沿線地域一丸となって道路の必要性を力強く発信することが重要だ。


 ――デジタルトランスフォーメーション(DX)推進への取り組みについては。


 藤井 DXの推進を目的とするのではなく、作業プロセスの中でDXの活用が効果的であるかを見極め、作業の効率化を進めていく。具体的には、建設業界の皆さまとのやりとりの中で現場の声に耳を傾け、効率化できるところを抽出し、検査書類の簡素化などを積極的に実施していきたい。


 ――地域の建設業への期待は。

 藤井 平常時はもとより、風水害発生時には、自らの危険を顧みず、地域の「守り手」としての協力や対応をいただいている。この場をお借りして、日頃のご支援・ご協力に対し、感謝を申し上げたい。建設業の皆さまは、安心と安全の取り組みの推進、私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の「担い手」として重要なパートナーであるとの認識の下、工期の平準化や週休2日制の導入など、働きやすい環境整備にも努めていきたい。

 

 ふじい・かずひさ

 1977年3月生まれ。埼玉県春日部市出身。2002年、国土交通省に入省。道路局、総合政策局のほか、和歌山県県土整備部道路局、在イラン日本国大使館一等書記官、内閣官房などを経て、21年、(一財)道路新産業開発機構ITS・新道路創生本部長に就任。7月4日から現職。趣味はランニングなど体力づくりやスポーツ観戦。座右の銘は「一隅を照らす」。

藤井事務所長

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら