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【国土交通省幹部インタビュー】総力戦の流域治水/廣瀬昌由水管理・国土保全局長

2023/09/07 本社配信


 7月に国土交通省水管理・国土保全局長へ着任し、梅雨前線や台風などの豪雨災害などがあり「改めて日本列島が災害に対して非常に脆弱であることを強く感じた」と語る廣瀬昌由局長。カーボンニュートラル、水道関係、総力戦の流域治水で取り組みを実践、深化していくことが大事。より広範な視点で水、河川、土砂、洪水氾濫など含め「流域全体を見据えた取り組みの必要性を強く感じた」と見解を示す。

 流域治水で行政は「堤防、河床掘削、遊水池やダムを作るプレイヤー。また、それを引っ張っていくマネージャーとしての役割も大きい」。流域の住民や企業などに参画してもらい「流域管理というような発想で進めていくことが必要」だという。流域治水プロジェクト2・0については「深化・加速化が大切で、地域の特性、地域、各地での取り組みを国交省の現場力を発揮して応援していく」と力強い。

 事業化に向けて進むハイブリッドダムは、治水機能強化と水力発電促進などの取り組み。CO2削減に自然エネルギーは大事と説明し「新たなダムを作る、今あるダムに発電機を付けて増電するというのもあるが、利水ダムや発電単独ダムの運用なども含め、トータルとして水力のポテンシャルを上げていきたい」と意欲的だ。

 浸水被害軽減への地下河川空間活用では「三大都市圏のようなところで放水路を作るのは現実的に難しい。そうなるとチャンスがあるのは地下空間」と分析し、抜本的な都市空間の安全性となると「地下の活用、その中でも河川の空間をどう活用するかが非常に大きなテーマ」と地下の可能性に期待を寄せる。

 建設産業界に対しては、災害時の対応や防災の工事なども含めて「地域の守り手として、その役割は非常に大きなところ」と感謝と評価の言葉。一方で、2024年問題もあることから適切に対応できるよう協力する。「地域の担い手としての活動が円滑に進むよう、現場が業界の意見を聞く。大きな団体との意見交換や、災害対応でのパートナーとして社会的地域が高まるような工夫が必要」とみている。

 若手職員などの定着には「達成感、やりがい、この仕事やって良かったよねというのを、組織として持てるような仕掛けが必要」との考え。

 モットーは「初心忘るべからず」。異動した時など節目の時の初心を忘れない戒めの心だという。職場では仲良しチームではなく、研鑽しながら、高め合い「チームワークよく仕事をするのが大事」だと話す。


【略歴】ひろせ・まさよし

 90年京都大学大学院工学研究科修了、建設省採用。国交省河川局治水課長補佐、水管理・国土保全局河川計画課長(併)内閣官房副長官補付(命)内閣官房水循環政策本部事務局参事官、大臣官房技術審議官、関東地方整備局長を経て7月より現職。1965年9月8日生まれ。京都府出身。

廣瀬昌由局長

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