記事

事業者
国土交通省港湾局

【国土交通省幹部インタビュー】港湾から社会課題解決を/稲田雅裕港湾局長

2023/09/12 本社配信


 7月に就任した稲田雅裕国土交通省港湾局長は「チャレンジすることを恐れず、日本が抱える社会課題の解決を図る港湾局にしていきたい」との決意を表す。「サプライチェーンの脆弱性、物流の2024年問題、資源やエネルギーの安定供給、デジタル化、脱炭素社会の構築、自然災害の激甚化など多岐にわたる課題の対応へ、必要となる港湾整備やDX・GXなどを強力に推進することが必要不可欠」だと語る。

 交通政策審議会の臨海部の強靱化の提言について「いずれも極めて重要な提言。24年度概算要求でも、地震・津波対策や高潮・高波対策、沿岸部における被災状況把握等のさらなる高度化を引き続き推進する。さらに、港湾立地企業が実施する気候変動リスクに係る脆弱性評価を促進するため新規の予算を要求した」と明らかにした。

 港湾・臨海部の強靱化は非常に重要だとし「国土強靱化基本法改正で、国土強靱化実施中期計画を策定することとなった。港湾・海岸の内容もしっかりと盛り込み、強靱化を強力に進めていきたい」と先を見据える。

 カーボンニュートラル、GX、DXには「最先端の知見を大胆に取り込み、常にチャレンジングに取り組んでいく姿勢が重要」だという。GXは「脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素・アンモニア等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成、洋上風力発電設備の設置・維持管理に不可欠な基地港湾の計画的整備等」を推進。DXでは「ヒトを支援するAIターミナルの実現やサイバーポートの構築、セキュリティを確保したゲート処理の効率化等」を進めるとした。

 2024年問題や担い手確保などは港湾工事でも課題で「適切な対策を講じなければ、港湾施設等の整備や維持に大きな支障が生じ、結果的に日本の社会経済活動などに重大な影響を及ぼす恐れがあり、喫緊の課題」と認識。4週8休以上の休日確保へ「技術者等の個人単位による休暇取得の周知徹底や荒天リスク精算型試行工事の対象拡大」などで適正工期設定に取り組んでいる。また、「BIM/CIMの原則適用、ICT施工に適した出来高管理基準の策定に向けたモデル工事の開始などi-Constructionを推進」している。

 港湾建設企業に対しては「港湾インフラの整備や管理の担い手であり、持続的・安定的に発展していくことが必要。今後とも、ともに港湾インフラの提供等を通じ、国民の命や暮らしを守り、経済活動を支えていきたい。心よりの協力をお願いしたい」とメッセージ。

【略歴】いなだ・まさひろ

 1990年九州大学大学院工学研究科修士課程修了、運輸省採用。国交省港湾局計画課長補佐、港湾局計画課計画企画官、港湾局計画課長補佐、港湾局計画課企画室長、港湾局技術企画課長、東北地方整備局長、中部地方整備局長を経て7月から現職。1965年9月3日生まれ。長崎県出身。

稲田雅裕港湾局長

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら