NHKが計画するSKIPシティ(川口市上青木地内)B街区への新スタジオ東棟建設が今月着工し、NHKと川口市による同施設のB・C街区利活用が大詰めを迎えている。新スタジオ東棟は大林組(港区)が施工を担い、2025年度の完成を目指す。そのほか、さらにB街区西棟建設も準備が進む。C街区では川口市が商業施設誘致に向け、ヤオコーとの事業用定期借地権契約締結を予定。さらに、産業振興・産業発信拠点の建設工事を来年度にも発注する考えを示した。
SKIPシティはA~D街区の4街区で構成しており、A街区では行政施設や映像産業関連施設が、D街区にはNHKの関連施設が立地する。未利用地となっていたB街区にNHKが新たなスタジオを建設し、C街区では市側が民間施設の誘致および産業振興拠点施設の建設を行う計画だ。
NHKがB街区へ整備する新たなスタジオ施設は、東棟(4スタジオ)と西棟(2スタジオ)の2棟で構成する予定だ。先行して東棟の建設工事が今月に着工。東棟の施設規模はS造一部SRC造4階建て、延べ床面積2万8500㎡を見込んでおり、2025年度内の完成を目指している。
西棟に関しては現在、設計を策定している段階だ。設計委託時点では施設規模を4階建て、延べ床面積1万8600㎡と想定しており、24年度内の工事着手、27年度内の施設完成といった工程を示している。
C街区では、川口市がSKIPシティ全体のさらなる活用を図り、賑わい創出に寄与する新施設の整備を計画している。C街区をさらにC1・C2街区の2街区に分割し、C1街区では市側が産業振興・産業発信拠点となる施設を整備。C2街区には民間の商業施設を誘致する見通しだ。
C1街区に先駆ける形で、まずC2街区の整備へ向けた準備が整ってきた。市は3月にヤオコーと商業施設の整備に関する基本協定を締結。その後、9月議会において月内にもヤオコーと事業用定期借地権の契約を行う見通しを示している。契約締結後は、ヤオコーが事業者として商業施設を建設。施設完成は2024年度内を見込む。
C1街区の産業振興・産業発信拠点建設については、設計が佳境へ入った。建築計画の概要が固まり、8月に近隣住民への説明会を開催。施設をクリエイティブビレッジ棟・産業資料棟・カフェ棟で構成し、施設規模をS造3階建て、延べ床面積5663㎡とする計画を明らかにした。
基本・実施設計はサトウ設計・ますいいリビングカンパニー・YAP共同企業体が策定中で、23年度内に仕様をまとめる見込みだ。現時点では24年度早期の工事発注を想定しており、24年度当初予算へ工事費を要望するものとみられる。施設完成は25年12月を目指す。
B・C街区の利活用に当たっては、施設の整備と並行して各街区内へ新たに遊歩道を導入する計画となっている。A街区にある現在の遊歩道と接続する形で、NHKがB街区内へ遊歩道を設ける。そこから市道を挟み、C街区内の遊歩道を市側・ヤオコー側でそれぞれ半分ずつ整備する見通しだ。
全街区の整備が完了すれば、川口市内に恒久的なスタジオ施設が誕生する形となる。映像制作関連の産業を中心に、市の地域産業振興施設、民間の商業施設らが連携することで、SKIPシティ周辺における大きな賑わい創出が期待される。