武山工業(甲府市)の20代、30代、40代の社員は夫婦共働きで子育て世帯が多い。仕事と家庭の両立を会社ができる限り支えて、一緒に悩み、一緒に乗り越えられたらという思いが、働き方改革に取り組んだきっかけという。
社員の中には病気と向き合う者も在籍し「会社として何がしてあげられるのか」、「どういう働き方であれば、本人の体・心に負担がなく、生涯働き続けられるのか」を考え、働き方改革の推進に至った。
着手に当たっての問題点としては、全社員が他の社員のことを自分のことのように、いかに考えることができるかが課題だった。
働きやすい職場環境づくり推進のための取り組みでは、「年次有給休暇等の所得を促進」として、従業員一人当たりの年平均年次有給休暇取得率100%、従業員一人当たりの月平均所定外労働時間ゼロ時間、所定外労働の縮減を推進する。
「法を上回るその他の育児、介護に関する制度」として、子育て、介護世帯への半日休暇取得、始業時間の繰下げ(1時間)、終業時間の繰上げ(1時間)、1年を通してのノー残業の実施。さらに「高年齢者が働きやすい職場環境づくり」として、作業環境の改善を行いながら、全員に空調服(1人2着)を支給(会社全額負担)している。
また、「若者が働きやすい職場環境づくりと就労定着」として、資格取得費用の全額会社負担、外部講師を招いての実技講習(社内実技場にて)など、技能向上に対するサポートが充実している。
同社は2022年1月にやまなし健康経営優良企業となった。同年11月には甲府市健康チャレンジ表彰で優秀賞を受賞。さらに、今年の2月にはYAMANASHIワーキングスタイルアワード表彰で奨励賞を受賞した。
取り組みの一番の効果として同社では、20代の若者が定着して離職することが無くなったことを挙げる。各種取り組みにより、安心して仕事に打ち込み、家庭または子育てにも取り組める。働きやすさと、家庭や自分を大事にしてくれると思ってもらえていることに大きな効果を実感している。
現在は、週休2日制を適用して工事を実施している。毎週土日を休日にし、現場の稼働は月曜日から金曜日のみとなっている。
天候に左右される仕事だが、社員の働きやすい職場を目指すためには、週休2日は厳守して、社員自らが考え、計画的に有給休暇を取得して、就業時間内でいかに社会貢献するものづくりが実現できるかを常に考え、仕事もプライベートも絶対に充実させるという気持ちで、全社員が働いているという。
来年度からは「完全週休2日制」を視野に準備を進めている。そのためには、人材育成の充実、働きやすい環境の充実、個人の生活の充実を念頭に、同社ではあらゆる取り組みに挑戦したいと考えている。
【企業理念】
①あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
②技術の向上に努め、お客様のご要望にお応えする商品・サービスを提供する
③高い倫理性を持ち、お客様から信頼・愛される企業をめざす