国土交通省の斉藤鉄夫大臣と日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会の建設業4団体幹部による意見交換会が19日に行われた。業界の実態として施工余力に問題がないことを確認したほか、前回の意見交換会で申し合わせた「おおむね5%以上の賃金上昇と週休2日の確保など工期の適正化へ全ての関係者が取り組む」ことについては、なお一層の取り組みを強化し、関係者が力を合わせていくことを再確認した。
冒頭、斉藤大臣は2024年度の概算要求について「建設業における安定した雇用や人材確保を図るため、『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』を含め、必要かつ十分な規模の公共事業予算を確保するとともに、資材価格の高騰などを踏まえた事業量の確保に取り組む」と説明。また、足元における予算の執行状況などからみて「国交省としては十分な施工余力があると考えている」との認識を示した。
建設業の賃金引上げ、働き方改革の推進については、時間外労働の上限規制適用まで残り半年となる中、働き方改革や賃金引上げに向けた取り組みをより一層強力に進める必要があるとし「ピンチをチャンスと捉え、労働時間短縮に向けた働き方改革はもとより、担い手確保のための処遇改善にも抜本的に取り組みを強化しなければならない」と決意を示し、団体側へ改革の進捗を確認しながら、取り組みの強化を要請した。
中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会が中間とりまとめを行っており、「必要な制度改正に取り組むこととし、働き方改革と生産性向上、適切な労務費等の確保と行き渡りなどを強化する」と話した。
10月は新たな公共工事設計労務単価の基礎資料となる公共労務費調査が行われる。「賃金下落に直結するダンピング受注を厳に慎み、労務費を適正に確保して下請契約を締結、技能労働者に適切な賃金を支払うよう」改めて要請している。
意見交換で4団体は、いずれも施工余力に問題がないことを訴えたほか、申し合わせ事項などへの取り組み状況を説明。基本問題小委員会の中間とりまとめについては、早期の制度改正を望む声などが出ている。