国土交通省は、建設工事における安全衛生経費の適切な支払いへ、標準見積書を作成する。先行工種として、型枠と左官を選んでおり、日本型枠工事業協会、日本左官業組合連合会の協力を得ながら検討・作成。その結果を踏まえて、標準見積書作成手順をまとめ、他の専門工事業団体へ周知、横展開を図る。年度末までにまとめる。
安全衛生経費の見積書への記載状況については、過去に調査している。まず、元請けの半数、中間下請、最終次下請とも4割が請負代金を算定するための社内ルールやマニュアルがある。ルールがある中で、安全衛生対策の費用を算出する方法が記載されているのは3割程度にとどまる。記載されていないのは4割程度。残りは他の費用とまとめて算定する形になっている。
算定方法が細目ごとの積み上げよりも、直接工事費等、特定の費用区分の総額に一定率を掛け算する方法が多い回答。双方使っているのは2割程度いる。
先行2工種のうち型枠工事業協会は、工事ごとに工事の安全衛生経費を積算することは極めて煩雑、事務手間が必要であり、工事金額に安全衛生経費率を乗じて算定する方式が現実的としている。
一方、左官業組合連合会は、見積項目の種類が多く、小工事の現場もあるため煩雑にならないようにしたい。個別工事の見積書で、労務費に安全衛生経費率を乗じて、経費額を計上する方法を案にあげている。
先行的に行う検討・作成の成果を踏まえ、標準見積書作成手順書をまとめる。盛り込む内容は、内訳明示する安全衛生経費の範囲を直接工事、共通仮設費、現場管理費、一般管理費に分けて示す。また算出方法は、積み上げ方式、率計算方式について算出例を示す。安全衛生経費を内訳として明示するための先行2工種の標準見積書の作成例を盛り込むなど。
なお、全国鉄筋工事業協会は、標準見積書作成手順書、全国圧接業協同組合連合会も標準見積書、科目別内訳書を会員向けに作っている。日本トンネル専門工事業協会は統一したものはなく、会員企業が個々に安全衛生経費を計上している。