政府の2023年度補正予算案が10日、閣議決定した。国土交通省関係の予算規模は国費総額2兆682億円で、うち2兆555億円が経済対策分となった。公共事業費は1兆7657億円で、うち最も多いのは防災・減災、国土強靱化の1兆749億円。非公共を加えると1・1兆円を超える予算となる。ほか、生産性向上等3632億円、災害復旧等3275億円を配分する。
デフレ脱却のための総合経済対策に掲げた5本柱のうち注目は「国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する」で①自然災害からの復旧・復興の加速②防災・減災、国土強靱化の推進③国民の安全・安心の確保および外交・安全保障環境の変化への対応―に必要な経費を計上している。
主な強靱化関連事業の公共分は▽河川、砂防、道路、港湾、下水道、鉄道、公営住宅等の災害復旧=3275億100万円▽「流域治水」等の推進=2658億300万円▽災害時情報伝達手段等の多様化・高度化=63億700万円▽公共施設等の耐災害性の強化=76億9800万円▽交通ネットワーク(鉄道・港湾)の耐災害性の強化=557億200万円▽国土強靱化に資する道路ネットワークの機能強化に関する対策=2075億5000万円▽道路インフラの局所的な防災・減災対策等=451億3000万円▽河川・ダム、道路、都市公園、鉄道、港湾等の重要インフラに係る老朽化対策=1641億6400万円▽デジタル技術を活用したインフラの整備、管理等の高度化等の推進=155億8600万円▽地域における防災・減災、国土強靱化の推進(防災・安全交付金等)=3069億7400万円▽鉄道駅のバリアフリー化・ホームドアの整備推進等=10億600万円▽下水汚泥の肥料利用の推進=16億2700万円▽災害対応体制の充実のための排水機能強化等=35億7900万円―などを盛り込んだ。
強靱化関係以外でも、生産性向上関係での道路ネットワーク整備などに724億7100万円、インフラ、交通、物流等の分野におけるGXの推進へ98億3300万円(ほか財政投融資枠100億円など)、産業立地に関して関連都市インフラの整備等の推進に50億円、道路システムのDXの推進へ65億円、PPP/PFI案件形成の推進には3億5000万円、建築・都市のDX加速へ72億円などを投じる。
他にも働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業として2億1000万円。建設現場における効率的な施工を促進するためのモデル事業を実施する。適正な労務費目安の検討、適正賃金が技能者まで支払われているか簡易に確認できる仕組みの検討調査を行う賃上げの実現へ3億2000万円を盛り込んでいる。
◎強靱化で別枠
国土強靱化の1兆749億円には、5か年加速化対策分のほか、緊急対応分2476億円が含まれている。加速化対策とは別枠設定となった緊急対応分は、資材価格の高騰や賃金の上昇といった環境を踏まえて緊急的に措置している。
◎債務負担行為も設定
事業加速円滑化国債は事業費1061億円を設定。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく大規模事業等について、補正予算からスタートする国債を設定することにより、計画的かつ円滑な事業執行を促進する。
ゼロ国債は、積雪寒冷地域などの実情に応じた公共事業の発注措置で効率的な執行を促進するため事業費777億円を設定する。