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千葉県木更津市

従来手法で市場整備/概算事業費は約25億円/市役所跡地が適地/木更津市 地方卸売市場運営審

2023/11/20 日刊建設タイムズ

 木更津市は17日、「2023年度第2回地方卸売市場運営審議会」を地方卸売市場管理庁舎2階会議室で開催し、「公設地方卸売市場経営戦略」の素案を全会一致で可決した。卸売市場の再整備に関し、従来手法が最適と判断。また、にぎわい施設の整備手法について、PPPの1つである定期借地方式を採用し、公募型プロポーザルなどで事業者を選定する方針を示した。工事費は約24・6億円と試算。整備場所について、現在地と旧市役所跡地を比較検討した結果、旧市役所跡地を適地と結論付けた。

 整備などのスケジュールは▽24~26年度=準備期間▽27年度=卸売市場の基本設計、にぎわい施設の公募に向けた調査▽28年度=卸売市場の実施設計、にぎわい施設の整備・維持管理事業者の公募▽29~30年度=建設工事▽31年度=供用開始――の予定。

 従来手法を選定した理由として、現状と同じ卸売業者が販売活動を行うため、構築されたネットワークを活用でき、要望や意見を設計に柔軟に反映することが可能であることなどが挙げられた。

 また、卸売市場における運営のさらなる効率化を図るため、管理・運営に指定管理者制度の導入を検討していく。

 概算事業費の内訳は▽建設工事費=約15・7億円▽外構関連工事費=約2・8億円▽解体工事費=約1・4億円▽調査・設計委託料=約1・6億円▽地方債利子=約3・1億円。

 新設する卸売市場は、青果部2880㎡(卸売場2100㎡、事務所400㎡、倉庫380㎡)、水産物部2730㎡(卸売場900㎡、事務所440㎡、冷凍棟・加工所1390㎡)、管理および組合事務所等347㎡で構成する予定。

 倉庫、冷凍棟、加工所は、民間による整備を予定。加工所については、現在の卸売業者が引き続き加工を担うか検討する。

 目指す姿として「地域の『食』の未来を支える市場」を掲げ、「『食』の地域への安定供給のための販売・物流の機能の強化」「安全で安心な『食』を消費者に届ける市場の機能の強化」「『食』を取り巻く情報をつなぐ市場の機能の強化」を目標に設定している。

 にぎわい施設は、床面積約6600㎡の想定。整備方針として▽市場直結ダイニング▽食の情報発信センター▽地域活性化ステーション――を設定。房総産の食材が集まる機能や、東京湾アクアライン・大型商業施設に近接する地の利を生かす。

 旧市役所跡地は、潮見1―1に所在。敷地面積は約2・4ha。隣接する駐車場なども合わせて建設地とする予定。西側に青果施設、東側に水産物施設、南西側ににぎわい施設を配置する計画。

 今後取り組む内容として、コールドチェーンへの対応の検討、耐震性の確保、ZEB(Zero Energy Building)への対応、災害時の一次集配拠点機能の具備、にぎわい施設機能の強化などを挙げている。

 現市場は、新田3―3―12の敷地面積約3・2haに所在。総合市場として1971年に開場した。開設から50年以上が経過し、老朽化や主要施設の耐震性不足といった問題を抱えているほか、取扱高が減少傾向にある。

 施設は、青果部卸売り場3681㎡、水産物部卸売り場1201㎡、青果部・水産物部買受人組合事務所163㎡、管理庁舎248㎡、倉庫535㎡、公衆トイレ67㎡など。卸売業者は、青果部と水産物部各1社。

 2022年度には、旧市役所跡地へ移転することを想定したサウンディング型市場調査を実施。参加した民間事業者からは、現市場の売却費用を財源として見込める可能性があり、市の財源負担の軽減が期待できるとの声があった。

 今後は、12月定例議会の建設経済常任委員会および全員協議会で経営戦略の素案について説明し、12月中旬から24年1月中旬にかけてパブリックコメントを実施。2月下旬に経営戦略案の策定に関する検討会議を行い、3月下旬に政策調整会議および総合政策会議で経営戦略を決定する。3月定例議会の建設経済常任委員会および全員協議会で経営戦略に関する報告を行う。

 公設地方卸売市場経営戦略策定業務は、長大が24年3月21日までの納期で担当している。

施設の配置案 事業化に向けたシミュレーション案

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