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茨城県笠間市

「焼却施設+バイオガス発電」で検討/設計・建設に3カ年/新清掃処理施設、100億超も

2023/11/18 日本工業経済新聞(茨城版)

 笠間市は現時点で、整備準備を進めている新清掃施設を「焼却施設+バイオガス発電施設」で検討していると16日の説明会で公表した。今後は、施設整備計画を24年度までにまとめ、25~27年度までの3カ年で設計や建設工事を行い、28年度の供用開始を目標に進める。また、同整備と併せて隣接する「ゆかいふれあいセンター」を廃止し、新清掃施設内に健康増進の場を設けることを検討している。

 同事業は、現市環境センターの老朽化に伴い、新清掃施設を建設するもの。建設予定地は、現在の中間処理施設である「市環境センター(長兎路仁古田入会地1-62)」の隣接グラウンド(面積約1万2000㎡)としている。

 新施設概要では2つの案を検討。施設案①では「焼却施設」、施設案②については「焼却施設」+「バイオガス発電施設」となっている。いずれも処理方式は、ストーカ式となっており、施設は24時間稼働。余熱利用の方法(熱回収)として、施設案①では、蒸気タービンによる発電や、温水による清掃施設内への給湯、暖房への利用などを挙げている。

 一方、施設案②においては、蒸気タービンによる発電や温水による清掃施設内への給湯、暖房への利用の他、バイオガス発電施設で生成されたバイオガスはガスタービンにより発電などを検討している。

 施設案①における新施設(焼却)の規模は、28年度時点の計画ごみ処理量(可燃ごみ)を1万9610t/年とし、80t/日の規模で検討。一方で、施設案②の新施設(焼却)とバイオガス発電施設の想定規模に関して1万9610tを処理するため、現時点で想定する焼却処理規模は65t/日、バイオガス発電施設の処理規模は35t/日を想定している。

 市が施設案②で検討を進めている理由としては主に、バイオガス発電施設は、ごみ量やごみ質に影響されず、安定した発電が可能なこと、新施設整備にあたっては、国からの循環型社会形成推進交付金の運用を最大限に活用し、一般財源からの支出負担を減らすなどを考慮したため。

 また現施設に隣接する「ゆかいふれあいセンター」(敷地面積1万2404㎡)は、廃止を検討。主な理由として、「笠間・水戸環境組合の解散に伴う協定」に基づいて、25年度からは年間の施設運営費約7000万円が市の負担となること。老朽化により、大規模な修繕工事が必要になり工事費には約6億円を超える費用がかかる。併せて、修繕費も年間400万円から1000万円かかるとしている。

 新施設整備を受け、山口伸樹市長は、16日に開催した市民説明会において「現時点で明確な数字は言えないが、想定しているだけでも100億円をゆうに超える事業となると考えている。今後も順次説明会を開催していきたい」と発言している。

 まずは、工事発注に向けた「支援アドバイザリー業務委託費」を、24年度当初予算に計上する見通しだ。

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