佐野市は、国道50号沿線開発構想に基づく産業団地開発区域と事業手法を決定した。主要地方道佐野行田線西側エリア15・1haに絞り込み、市施行による土地区画整理事業を導入する。2023~24年度で農振農用地区域除外手続きや都市計画決定に向けた事前協議を済ませ、25年度の都市計画決定が当面の目標。26年度に事業認可を取得し、27~29年度で産業団地造成とともに分譲企業を募集する。
市は22年度、国道50号南側の農地44・2haを開発想定エリアに選定。候補地内には複数の大手運輸業が立地し、これらを避けるのが妥当と判断。計画当初は県への開発要望を模索したものの、県の開発要件となる20ha以上に満たず自主事業に落ち着いた。
事業手法は地区計画を定めた全面買収方式と土地区画整理事業による面的整備を比較検討。全面買収方式の場合、用地取得難航による事業の長期化や事業休止に追い込まれる事態が否めない。一帯を市街化区域に編入する土地区画整理事業が着実と結論付けた。
計画区域内は県安足土木事務所が1級河川菊沢川の改修を計画し、換地手法での用地確保で互いに連携できる強みがある。23年度は農林協議資料作成、都市計画決定変更図書作成、土質調査の3件を三立調査設計に委託。24年度は地区界測量を委託する。
現在は地権者に対する合意形成に努めており、24年度ないしは25年度には基本設計に移行する。25年度の県の定期線引き時期には市街化調整区域の市街化区域編入と併せ、区域を都市計画決定に持ち込む予定。土地区画整理事業は事業計画を策定する。
計画地は佐野行田線と国道50号が相互乗り入れる田島高架橋南側一帯の市街化調整区域で、一部が農振農用地区域。土地利用状況は佐野行田線沿線に物流施設や事業所が立地し、耕作放棄地が点在。農用地区域は集団性が乏しく、地権者への営農意欲を調査中。
地区西側を南北に流れ、渡良瀬川に合流する歳川西側は羽田工業団地(28ha)に接している。並行する佐野行田線と東武佐野線の北側には田島駅が立地。国道と県道の結節点であり、東西南北への利便性に優れる。産業系用途への拡大発展性が望めるエリア。
50号沿線は交通利便性が高いにもかかわらず、大部分は市街化調整区域の農業振興地域。農業目的以外の土地利用には様々な制約があり、周辺に影響を及ぼさない開発行為は例外的に認められる。農業政策との調和を図りつつ、新たな土地利用転換を促進する。
市内には佐野、田沼、羽田の3つの工業団地、佐野みかも台、佐野インター、佐野田沼インター、佐野AWSの4つの産業団地が分布。これら7カ所計261・9haは全て分譲が完了し、進出意欲を示す新たな企業ニーズに応じ切れていないのが実態。
50号は前橋市~水戸市を結ぶ延長161・5㎞。東京100㎞圏に立地する北関東の主要都市を連絡。市南部横断の8・8㎞は1993年度までに全線4車線化が完了。佐野新都心交差点~東北道佐野藤岡IC間の1㎞は2009年度に6車線化された。
新たな産業団地に多種多様な企業が進出することにより、産業の振興や財政基盤の強化、雇用の創出、転入者増と転出者減による定住の促進、地域活性化といった様々な波及効果が期待できる。50号沿線開発構想は19年3月に策定した。